2021年2月28日(日)
生活保護の扶養照会一部改正
虐待あれば行わず
厚労省通知
全面的改善求める声も
生活保護を申請した人の親族に連絡し、援助ができるかどうかを問い合わせる「扶養照会」について、厚生労働省は、虐待や家庭内暴力(DV)がある場合は照会しないよう要領を一部改正し、26日付で自治体に通知を出しました。運用は3月から。
戸籍情報を基に、親や子、兄弟、孫にまで生活の援助ができるかどうかを問い合わせる扶養照会。本人の承諾なしに行われており、DV加害者にまで照会する自治体もあって問題になっています。
厚労省は照会しなくていい例について、これまで「70歳以上の高齢者」や「20年間音信不通」などにとどめてきました。今回の改正で「20年間」を「10年程度」に短縮。「相続で対立している」「借金を重ねている」など「著しい関係不良」も加えました。しかし明確に禁止しているわけではなく、対象も限定的です。
コロナ禍で生活に困窮する人たちが増えるなか、国は生活保護が国民の権利だとして利用を呼びかけています。一方で生活保護の利用を親族に知られることを嫌がる人が多く、扶養照会が大きな壁になっています。
厚労省の2017年の調査で扶養照会は年約46万件。うち援助につながったのは1・45%にとどまり、自治体によって対応に大きな差もあります。
生活困窮者の支援団体らは、扶養照会を本人の承諾なしに行わないなどの全面的な運用改善を求めています。