2021年2月27日(土)
LGBT差別禁止法案 可決
米下院 国民理解深化が力に
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米下院は25日、LGBT(性的少数者)への差別を禁止する平等法案を賛成多数で可決しました。トランプ前政権はLGBTを敵視してきましたが、国民の間ではLGBTへの理解が深まり、議会が権利獲得に向けて動き始めました。
同法案は、職場や公共施設などにおいて、人種、宗教、性別、国籍に基づく差別を禁止する公民権法を改正したもの。今回、差別から守られるべきものとして新たに「性的指向」と「性自認」が含まれました。
米国の一部の州ではトランスジェンダーを理由にスポーツチームへの参加を禁止するなど逆流も起こっています。LGBTを標的とした差別を禁止する法律を持つ州は50州中わずか22州と首都ワシントン特別区のみとなっており、連邦法の制定が求められています。
黒人で同性愛者であることを公表し昨年11月の連邦議会選挙で初当選を果たしたジョーンズ下院議員は平等法案の可決を歓迎し、「全米・全世界の何百万もの当事者に力強いメッセージを発している。彼らは認められ、尊重され、守られるべき価値のある存在だということだ」と述べました。
米調査会社ギャラップが24日に公表した調査によると、米国の成人(18歳以上)の5・6%がLGBTであると回答しました。2017年の4・5%から上昇しており、社会でLGBTの認識が広がる中、LGBTを自認する人が増えていることを示しています。
同法案は19年に下院で可決されましたが、当時トランプ政権下で共和党が多数の上院で否決されていました。平等法案の法制化には、現在、民主・共和両党が50議席を占める上院で60の賛成が必要です。下院では3人の共和党議員が賛成に回りました。
公共宗教研究所は、米国民の83%が差別からLGBTの人々を守る法律の制定を支持しているとし、共和党支持者では68%が支持していると推計しています。(石黒みずほ)