2021年2月26日(金)
「N高政治部」 志位委員長の特別講義(6)
大企業への民主的規制
力にふさわしい社会的責任を
続いて、Cグループの生徒の質問に志位委員長が答えました。
生徒 「赤旗」日曜版の原油価格高騰特集の記事の中で、CO2排出量に応じた環境税についてのことや、「日本共産党綱領」のなかで、大企業の利潤第一主義の経済活動に民主的な規制を加えることをめざしているとの記載がありました。大企業の利潤第一主義の経済活動に民主的な規制をというところに関して、あらためて環境税以外で共産党として考えている政策は何かあるのかお伺いしたいです。よろしくお願いいたします。
大企業への「敵視」でなく、社会的責任を果たしてもらうこと
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志位 よく日本共産党の政策を調べていただいてうれしいです。
大企業の民主的規制というのは、私たちが経済政策の根幹にすえている方針ですが、これは大企業を「敵視」したり、ましてや大企業を「つぶす」という話ではまったくありません。
大企業というのは、大きな社会的存在で、大きな力を持っているわけですから、その社会的存在・力にふさわしい社会的責任を果たしてもらう、そのために法律などのルールをつくっていく、これが私たちの綱領でのべている民主的規制の方針です。
どういう社会的責任かということを考えた場合、いくつかの柱があります。
まず、いいたいのは、人間らしい雇用の責任です。さきほどお話ししたような、パート・アルバイト・派遣など非正規で労働者を「使い捨て」にするというやり方をあらためて、正社員が中心の雇用にしていく。それから「過労死」を生むような長時間労働をなくしていく。「サービス残業」=ただ働きをなくしていく。誰でも8時間働けばふつうに暮らせる社会にしていく。そうした人間らしい雇用の責任を果たしてもらう。
二つ目に、税と社会保険料負担の責任です。これもさきほどお話ししたように、中小企業に比べても大企業の方が税負担が少ないという現状があります。いろいろな税逃れもやられています。もうけにふさわしい税金をきちんと払ってもらう。
三つ目は、環境に対する責任です。たとえば今、CO2を減らさなければならない時に、大型の石炭火力発電所をなんと15基も新しく建設中、あるいは計画中です。こんなことやったら、2050年でもCO2をどんどん出し続けることになります。もうけ優先で石炭火力をつくっていくのではなく、建設中・計画中のものはやめる、既存のものも計画的に撤退していくことが必要です。これは第一歩にすぎませんが、環境への責任をさまざまな面で果たしてもらうことが必要です。
ジェンダー平等への責任――「間接差別」をなくす
志位 それからもう一つ言いたいのは、ジェンダー平等への責任です。ジェンダー平等社会をつくるさいに、「雇用におけるジェンダー平等」の実現は、とても重要な柱です。
日本では、正社員でも女性の平均賃金は男性の平均賃金の75%です。非正規社員の場合は女性は男性の半分です。なぜそうなっているかというと、企業のなかで、一見中立のように見えるけれども女性に不利に働く「間接差別」が横行しているからなのです。
たとえば、就職すると「コース別人事」になっていて、管理職まで行けるコースと一般職にとどまるコースとに最初から分かれているわけです。女性の場合、多くは管理職まで行けるコースには乗れません。一応、男女平等、ジェンダー平等が建前になっているのですが、実際はそうなっていません。差別が横行している。大企業は、真剣にその是正に取り組み、ジェンダー平等への責任を果たしていく必要があります。
日本社会、日本経済の健全な発展にとって避けることができない
志位 さらに、中小企業への責任、地域社会への責任など、大企業には多面的な社会的責任があります。それをきちんと果たしてもらうために法律などのルールをつくっていこうというのが、私たちが綱領で掲げている大企業の民主的規制の方針です。
大企業に対する民主的規制は、働く人、国民の願いであるだけでなく、日本社会、日本経済の全体の健全な発展にとっても、避けることができない合理的な方針だと、私たちは考えています。(つづく)