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2021年2月26日(金)

主張

ミャンマー情勢

軍は武力弾圧やめ民意に従え

 ミャンマー国軍のクーデターに対して国民の大規模な抗議行動が続いています。国軍は武力で弾圧し、アウン・サン・スー・チー氏ら国家指導者の拘束を解こうとしません。国軍は過去何度も民主化運動を力で封じ込めようとしてきましたが、民衆はそのつど立ち上がり民政移管や選挙を実現しました。国民全体に広がったたたかいを抑えつけることはできないと軍部は知るべきです。即刻弾圧をやめ、昨年11月の総選挙で示された民意に従って国民民主連盟(NLD)政権を原状復帰させなければなりません。

国民は独裁復活を拒否

 国軍の発砲で死傷者が出る中、民衆はひるむことなく軍事独裁復活を許さない行動を展開しています。22日には公務員、労働者、市民ら数百万人が全国でストライキに立ち上がり、最大規模の抗議デモを行いました。参加者は国軍が統治不能になるまで不服従運動を拡大すると宣言しています。軍政は完全に拒絶されています。

 悲願である内戦の終結、和平の実現にとっても軍事独裁の復活は障害でしかありません。停戦に応じていた10の少数民族武装勢力は、クーデターを非難する声明を発表し、国軍との対話を拒否しました。軍が奪い取った政権の正統性はここでも否定されています。

 軍政は1962年のクーデターから2011年の形式上の「民政移管」まで半世紀近く続きました。その間、1988年の全国規模の民主化運動、流血の弾圧、スー・チー氏の数度にわたる自宅軟禁と、ミャンマー国民はいばらの道を歩みつつ民主化をかちとってきました。

 90年に総選挙が実施されましたが、NLDが勝つと国軍は結果を受け入れず、軍政を続けました。今回も力で選挙結果をなきものにしようとしています。もはや同じ強権手法は通用しません。

 2015年の総選挙でNLDが圧勝して民政が本格化して以降、民主主義は国民の間に根付いています。昨年の総選挙ではNLDがさらに議席を増やしました。国会議席の4分の1を軍人枠とする特権にも批判が集まっていました。民意は明確です。

 国軍は昨年の総選挙の「不正」を言い立てますが、ミャンマーの選挙管理委員会にも国際監視団にも否定され、クーデターの根拠は総崩れです。追い込まれているのは国軍です。国軍に残された道はスー・チー氏らを解放して、クーデターで奪った政権を元に返し、昨年の総選挙結果にもとづいて樹立される新政権に従うことしかありません。

日本政府は厳しい対応を

 国際社会はミャンマーのクーデターと国軍の暴力への非難を一段と強めています。グテレス国連事務総長はミャンマー国民支持を表明し、軍に弾圧の停止を要求しました。米国は軍幹部などに制裁を科し、欧州連合(EU)も制裁を辞さない姿勢です。東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国からも批判が上がっています。

 日本政府はクーデターに「重大な懸念」を表明し、国軍の発砲で死傷者が出たことを外務報道官が非難しました。日本はミャンマーにとって主要国中、最大の経済援助国です。軍政を拒否するミャンマー国民の願いに沿って国軍に厳しい対応をとるべきです。


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