2021年2月24日(水)
新設おかしい石炭火発
神奈川県横須賀・神戸・仙台
若者と住民訴え
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「世界で5番目に多く二酸化炭素を排出しているのに、新設はおかしい」。二酸化炭素を大量に排出する石炭火力発電所が新たに稼働、建設されている神奈川県横須賀市と神戸市、仙台市の若者らが23日、各地の発電所の前で「石炭ゼロ」を求めました。
主催は気候変動への対策を訴える世界中の若者の運動「フライデーズ・フォー・フューチャー」(FFF)。3地域のFFFが大気汚染によるぜんそくなどに苦しむ地元住民と協力して政府に訴えました。12日に開始した梶山弘志経済産業相と小泉進次郎環境相に石炭ゼロを求める手紙を送るキャンペーンへの参加も呼び掛けています。
世界に逆行 横須賀
神奈川県横須賀市では「FFF横須賀」の、ひかりさん(20)が、東京電力と中部電力による合弁会社「JERA」が石炭火力発電施設2基の建設を進めている同市久里浜の横須賀火力発電所前からウェブで中継。一緒に反対運動をしている「横須賀石炭火力発電所建設を考える会」のメンバーに話を聞きました。
考える会の齊木貴郎さんは「現在、横須賀市では年間188万トンのCO2を排出している。この石炭火力発電所が稼働すれば914万トンと5倍近くに増える。脱炭素を目指す世界の流れに逆行するものだ」と告発しました。
鈴木陸郎代表は「JERAは『CO2削減の新技術導入には大きな覚悟が必要』というが、今本当に必要な覚悟は石炭火力発電所建設を中止することだ」と力を込めました。
ひかりさんは「私たちに石炭火力発電は必要ありません。これからも脱石炭をめざして声をあげていきます」と訴えました。
干潟の自然を守りたい 仙台
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「フライデーズ・フォー・フューチャー仙台」は、仙台市宮城野区で稼働が始まった石炭火力発電所「仙台パワーステーション」そばで、地元住民とともに抗議のアクションをしました。
冷たい強風が吹きすさぶ中、参加者は「NO! 石炭火力」「(渡り鳥の飛来地)蒲生(がもう)干潟を自然のままで」などと書いた横断幕を掲げてアピールしました。
大学4年生(22)は、「『ゼロカーボン』宣言をしている仙台市で火力発電所をつくったことをただしていきたい」と話しました。
運転差し止め訴訟原告団の水戸部秀利副団長(医師)は、地球温暖化、大気汚染、隣接する蒲生干潟の環境破壊の3点の問題を指摘。「撤退するまで地域の住民と頑張りたい」と訴えました。
大学2年生(20)が「全国各地で火力発電が問題になっていることを改めて知りました。これからも力を合わせて反対していきます」と決意を語りました。
子どものため声上げる 神戸
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神戸市では、「フライデー・フォー・フューチャー(FFF)神戸」の人たちが稼働中の1・2号機に加え3・4号機が建設中の神戸製鋼石炭火力発電所(灘区)近くに集まり、抗議のアクションを行いました。
FFF神戸のエリナさん(24)の問いに、3・4号機の建設・稼働をめぐって神鋼と関西電力にたいする民事訴訟と国にたいする行政訴訟の原告で、地元住民の女性(39)が答えました。
石炭火発の影響について女性は「小6の娘が幼稚園の頃、ぜんそくになりました。子どもが苦しむ姿を見るしかない親はつらい」と語り、大量のCO2排出についても「豪雨災害などが起きている。子どもや孫の世代のために温暖化を止めないと」と発言。行政訴訟の大阪地裁判決(3月15日)を前に「どういう結果になっても声を上げ続けたい」と述べました。
エリナさんはまた、兵庫県の地球温暖化対策推進計画案のパブリックコメントで、石炭火発計画中止の意見を届けようと呼びかけたことを紹介しました。