2021年2月21日(日)
ウーバー運転手は従業員
英最高裁 最賃・有休へ道
【ベルリン=桑野白馬】英最高裁は19日、米配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズの元運転手2人が最低賃金や有給休暇など従業員としての権利を認めるよう求めていた裁判で、元運転手が従業員として扱われるべきだとの判断を示しました。英BBCによると、この判決で、数千人の運転手に対し最低賃金の支払いや有給休暇の取得が認められる可能性が出てきました。
ウーバー側は、アプリを提供し利用者と運転手の仲介をしているにすぎないとして、運転手はあくまで個人事業主だと主張。3度の敗訴の末に上告していました。最高裁はウーバー側の訴えを判事全員の一致で棄却しました。
最高裁は、ウーバーが賃金設定をしていることや、運転手側に発言権がないことを理由に運転手はウーバーに従属する立場にあると判断。乗客を乗せている間だけでなく、アプリにログインしている間も勤務時間に換算すべきだとしました。
全国都市一般労組(GMB)は「歴史的な勝利」とコメント。経済紙フィナンシャル・タイムズは「ウーバーにとっては、世界で最も重大な敗北の一つ」と報じました。
訴えを起こした1人でアプリ運転手・配達員労働組合(ADCU)のヤシーン・アスラム代表は「多くの労働者に救済をもたらす決定だ。今後は政府が法律を制定し、最も弱い立場にある人を搾取から守る義務を果たしてほしい」と述べました。
ロイター通信によると、元運転手の2人は2016年に訴えを起こし、計25人の運転手が訴訟に加わっています。ウーバーは今回の判決を「尊重する」とする一方、英国内に計約6万人いる運転手の全員には適用されないと主張しています。
欧州各地で、インターネットを通じて単発の仕事をする「ギグワーカー」と呼ばれる労働者に関し、会社の雇用責任を求める流れが強まっています。今年1月にはスペインで、アプリを利用して料理の出前をする「デリバルー」社の配達員は従業員とみなされるべきとの判決が出ています。