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2021年2月10日(水)

論戦ハイライト

イージス・システム搭載艦の導入

米政府・軍需企業圧力で血税1兆円

穀田議員追及で鮮明

 コロナ禍のもと国民の命と暮らしが脅かされ、財政が逼迫(ひっぱく)する中、1兆円もの高額兵器「イージス・システム搭載艦」を導入―。菅政権の閣議決定の背景に、米ミサイル防衛庁と、世界最大の軍需企業ロッキード・マーチン社の猛烈な圧力があったことが、9日の衆院予算委員会での日本共産党の穀田恵二議員の質問で浮かび上がりました。


 2017年12月、安倍前政権はトランプ米政権の「武器爆買い」要求に応じ、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を閣議決定。しかし、住民の強い反対と防衛省のずさんな計画で配備断念に追い込まれます。ところが菅政権は昨年12月、ロッキード社と契約したSPY7レーダーなど関連システムを解約せず、同システムを搭載するための「イージス・システム搭載艦」導入を決定したのです。

 導入費用は陸上イージスの4000億円を大きく上回る5000億円以上。穀田氏は、維持費など追加費用を含めれば「1兆円を超す可能性がある」との元防衛政務官のツイッターをあげ、「天文学的な数字になる」と批判しました。

根拠は示さず

 重大なのは、SPY7は試作品さえ完成しておらず、「カタログしかないようなもの」(穀田議員)です。

 一方、もう一つのレーダー候補だったレイセオン社製のSPY6はすでに米海軍が採用を決定し、生産段階にありました。それなのに、なぜSPY7が選ばれたのか―。穀田氏の追及に岸信夫防衛相は、「選定プロセスでより高い評価を得た」と述べたものの、具体的な根拠は一切、示しませんでした。

 穀田氏は、自衛隊の元幹部からも「防衛省のレーダー選定はずさんだ」「国民の血税をつぎ込む以上、選定根拠を公表すべきだ」と批判が上がっていると追及しました。

 いったい、何があったのか。穀田氏は本紙取材で得た防衛省元幹部の、次のような証言を指摘し、事実関係をただしました。

 「(レイセオン社に米海軍次期レーダーの市場を奪われ)巻き返しを図るロッキード社が、米ミサイル防衛庁を通じて、猛烈な圧力を(日本に)かけていた」「レーダー選定の直前に、ミサイル防衛庁長官が来日して防衛省を訪れ、ロッキード社を選ぶよう圧力をかけた。そのことは当時の防衛副大臣も認めている」

529回もの接触

 こうしたやりとりがあったのは2018年7月です。岸防衛相はミサイル防衛庁のグリーブス長官が同年7月23日に来日し、防衛省の西田安範整備計画局長(当時)が面会したことを認めました。SPY7が選定されたのは、その1週間後である7月30日です。

 さらに、防衛省の関係部局が、レーダー選定期間の18年2月から7月までに6カ月間で、「業界関係者等」と529回も接触したことを明らかにしました。連日、数回におよぶペースです。個人名はすべて黒塗りですが、ほぼすべてがロッキード社や米政府(ミサイル防衛庁)関係者だとみられます。

 穀田氏は接触の実態をすべて明らかにするよう求めるとともに、米国を潤すための「イージス・システム搭載艦」の導入計画をただちに中止し、その予算をコロナ対策に回すよう求めました。

「イージス・システム搭載艦」をめぐる経緯

17年12月 安倍政権が陸上イージスの導入を閣議決定

18年2月  陸上イージスの構成品選定を開始

18年7月  ロッキード社のレーダーを選定

19年10月 防衛省がロッキード社と構成品購入を契約

20年6月  陸上イージスの配備計画を撤回

20年12月 菅政権が「イージス・システム搭載艦」導入を閣議決定


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