2021年2月9日(火)
生活保護 「扶養照会」やめて
支援団体が国に署名提出
|
生活保護の申請時に親族に問い合わせる「扶養照会」が生活保護の申請をためらわせる要因になっているとして8日、支援団体が運用の見直しを求める3万5806人分のインターネット署名を厚生労働省に提出し、要請しました。
「扶養照会」は、自治体の福祉事務所が申請者の親や配偶者、きょうだい、孫などに援助ができるかどうかを問い合わせるもの。申請者本人の承諾なしに行う福祉事務所があり、DV(家庭内などの暴力)被害で逃れた人が加害者に居場所を知られてしまうなど問題になっています。
署名提出後に国会内で会見した一般社団法人「つくろい東京ファンド」の稲葉剛・代表理事らは、相談現場では、住まいを失い所持金が数百円、数十円という極貧状態になっても「生活保護だけは受けたくない」と拒否感を示す人が多く、支援につながらないと指摘。拒否する理由について同団体のアンケートでは3人に1人が「家族に知られるのが嫌だから」と答えており、扶養照会が生活保護を利用する「大きな壁になっている」と話しました。
「生活保護問題対策全国会議」事務局長の小久保哲郎弁護士は、2017年の厚労省調査によると、年46万件の扶養照会が行われ、そのうち経済援助に至ったのはわずか1・45%だと発言。福祉事務所の業務負担が大きく現状にそぐわないと訴えました。
署名とともに提出した要望書では、扶養照会は「申請者が事前に承諾し、かつ明らかに扶養義務の履行が期待できる場合に限る」よう厚労省通知を改正することなどを求めています。署名は2月下旬まで募集し再提出する予定です。