2021年2月4日(木)
改定特別措置法・感染症法
田村智子議員の反対討論(要旨)
参院本会議
日本共産党の田村智子議員が3日の参院本会議で行った新型コロナウイルス対応の改定特別措置法・感染症法に対する反対討論(要旨)は次の通りです。
感染症法に患者に対する罰則を創設することは、感染症対策の進むべき方向をねじまげる歴史的な逆行です。
感染への不安から「患者を隔離しろ」「行動を全部明らかにしろ」との声は、結核でもHIVでも患者への差別となって襲いかかり、ハンセン病では強制隔離政策という国による歴史上最悪ともいえる人権侵害になったのです。この歴史的反省はどこへ行ったのか。
短期間で、患者当事者、医療・公衆衛生、法曹関係などから次々に罰則規定への反対の要請・声明などが出されていますが、どれも新型コロナ感染者への差別・攻撃を助長させることへの懸念が示されています。
なぜこれらの意見が省みられないのか。拙速な議論、立法事実なき罰則規定の創設に断固として抗議します。
求められているのは、患者の人権擁護を貫く具体の施策です。また、入院できずに自宅で亡くなる方がおられるもとで、新型コロナの患者の「自宅療養」を感染症法に位置づけたことも、患者の人権擁護からの後退といわなければなりません。
特措法に事業所に対する罰則を規定することは、長期にわたる新型コロナの影響で苦境にたつ事業者に、補償もなく休業や時短営業に従わせるというものであり反対です。
緊急事態宣言を発令しなくとも、罰則を科すことができる「まん延防止等重点措置」という新たな規定まで設けようというのです。どういう基準でどのような措置がとられるのかは、すべて政令に委ねられています。国会報告も義務づけていません。
感染症抑制には自覚的な協力が必要であり、社会的な連帯が求められます。事業者が安心して自覚的に感染抑制に協力するには、罰則ではなく補償こそが求められています。
特措法によって新型コロナ患者受け入れ要請に応じない民間医療機関に名前の公表という社会的制裁を行うことは、政府の長年の医療政策の失政を省みず、現在の病床逼迫(ひっぱく)の責任を民間医療機関におしつけるものです。
協力を求めるというのであれば、昨年の緊急事態宣言後、減収補填(ほてん)を行って医療機関の経営不安を払拭(ふっしょく)した上で、診療の研修など丁寧な対応をすべきだったのです。
診療報酬による急性期病床の削減、診療報酬の引き下げなど長年の社会保障抑制政策が新型コロナウイルス患者の受け入れ余力をそいできたことは明らかです。そのような政府の施策の失敗を不問にして、それに苦しめられた医療機関に病床逼迫の責任を押しつけることは許されません。