2021年2月3日(水)
ミャンマー 軍政構築
閣僚任命・総選挙に言及
SNS上 市民怒る
【ハノイ=井上歩】1日のクーデターで全権を掌握したミャンマー国軍の総司令官室は、2日付の国営英字紙に新閣僚の任命など多数の告示を掲載し、非常事態宣言下の軍事政権づくりを進めていく姿勢を明らかにしました。
軍政は、外相や新型コロナ対策の指揮をとる保健・スポーツ相を新たに任命。「総選挙を実施し、定められた国政の職務が勝利政党に委譲される」との告示も出しましたが、選挙実施の時期には言及しませんでした。
転覆された国民民主連盟(NLD)政権のアウン・サン・スー・チー国家顧問、ウィン・ミン大統領ら多数の幹部らの拘束に関して国軍は情報を明らかにしていません。
ロイター通信によると、NLDは2日、スー・チー氏らの解放を求める声明を発表。同通信は、著名な仏教僧が拘束された情報も伝えています。
最大都市ヤンゴン在住のミャンマー人ジャーナリストは本紙のメール取材に「人々はクーデターに怒り、納得できないでおり、その怒りはソーシャル・ネットワークにはっきりと表れている」と語りました。
クーデターへの抵抗を呼びかけたNLD指導者のスー・チー氏が、街頭行動には出ないようにと指示を出しているため2日午前の時点でデモは起きていないといいます。街には大きな混乱はみられないものの食料品や生活必需品のパニック買いが起きたといいます。
ジャーナリストは「クーデターは国にとっての大きな悲劇だ。軍事独裁者がいつまで支配を続けるか、わからない」と述べ、悔しさをにじませました。
英字紙ミャンマー・タイムズ電子版は2日、「一夜明けても悪夢のような現実」との見出しを掲げ、市民の困惑やSNS上での抗議の様子を報道。法律家の「クーデターは憲法にのっとっていない。クーデターはこの国の歴史で、国民に不幸しかもたらしていない」との声を伝えました。