2021年1月27日(水)
気候適応サミット開幕
各国首脳 国際協調訴え
米特使「4年不在謝罪」
【ベルリン=桑野白馬】オランダが主催する「世界気候適応サミット」(CAS)が25日、オンラインで開幕しました。約20カ国・地域の首脳はすでに深刻な影響を及ぼしている気候変動に対処するため、国際社会による一致した取り組みの必要を訴えました。
気候変動への「適応行動」は、緑地化による水害対策、水源保護による干ばつ対策、暴風に対するシェルターなど、気候災害から人命や経済、社会を守るための行動を意味します。パリ協定でも重要課題として位置付けられています。
ホスト国オランダのルッテ首相は、海面上昇で家を失う人や、干ばつで水不足に苦しむ人がこの瞬間も大勢いると指摘。「今年を行動の年にしなければならない」と述べました。
国連のグテレス事務総長は気候変動の影響を最も受ける途上国や最貧国への支援は「道徳的、経済的、社会的義務だ」と強調しました。
バイデン米新政権からは、ジョン・ケリー大統領特使が参加。ケリー氏は、前トランプ政権が「パリ協定」を離脱したことについて「過去4年間の米国の不在を謝罪する」と発言。「温室効果ガスの排出量削減は良心と常識の問題だ。今後できる限りのことをしていく」と表明しました。
太平洋の島国マーシャル諸島のデービッド・カブア大統領は、既に気候変動の甚大な影響を受けているとして「地域社会、生態系や人権に至るまでが危機にさらされている」と強調。「最新の科学と知見を調和し、国際社会の強力な連携が必要だ」と語りました。
ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇はメッセージを寄せ、気候変動に苦しむ地域への支援は生活環境の改善にもつながるとして「責任のある、前例のない行動を協力して前進させるという政治的意思と動機があると示さなければいけない」と述べました。