2021年1月27日(水)
主張
3次補正予算審議
コロナ集中対策に組み替えよ
コロナ対策として菅義偉政権が提出した2020年度第3次補正予算案が衆院を通過しました。昨年、政府が緊急事態宣言は必要ないと明言していたときに編成した予算案のままです。医療崩壊が起きつつある今、必要な措置が盛り込まれていません。「Go To」事業をはじめ不要不急の経費が多すぎます。日本共産党と立憲民主党は共同で医療、暮らし、営業への支援を拡充する組み替え動議を提出しました。急を要するコロナ対策に集中したものにつくり変える必要があります。
国民の苦難打開できず
3次補正19・2兆円のうち「ポストコロナに向けた経済構造の転換」と「国土強靱(きょうじん)化」が合わせて14・8兆円です。病院のベッドが足りず、自宅で亡くなる人が出ている時に「コロナ後」に向けた経費が大半とは、全く逆立ちしています。医療機関の減収補填(ほてん)はせず、無症状者を把握、保護する積極的検査の予算もありません。
経済対策には雇用調整助成金の特例延長や中小業者への資金繰り支援が入っているものの、マイナンバーカード普及や5G(次世代通信規格)の研究開発支援など、コロナで苦しむ事業者と無関係なものばかりです。持続化給付金、家賃支援給付金は打ち切ります。営業時間短縮に応じた飲食店への協力金の増額もありません。
衆院予算委員会で日本共産党の笠井亮議員は「感染防止には協力したい。せめて月々の固定費さえ補償してくれれば」との居酒屋の切なる声を紹介し、売り上げが減った全ての業種への十分な補償を求めました。この声に応えるのが政府の責務です。
「Go To」は感染抑止に逆行するため中止せざるを得なくなった事業です。1・1兆円の全額撤回が当然です。
「国土強靱化」は、高規格道路の建設、自動運転の研究、スマートシティの海外展開といった3月末までの補正予算で行う緊急性のない事業がほとんどです。
「国民の安全・安心」の名目で軍事費3867億円まで盛り込んでいます。2816億円が潜水艦やミサイルなど兵器購入の前払いにあてられます。軍備増強がコロナ対策の役に立たないことは誰が見ても明らかです。
緊急事態宣言前につくった補正予算案を何の修正もせず国会に提出するところに、危機的現実を見ようとしない菅政権の政治姿勢があらわれています。
政府・与党は予備費をあてると言いますが、コロナ対策は焦眉の中心課題です。使い道を事前に国会に諮らない予備費に頼ることは無責任です。
不要不急の経費は撤回を
2野党共同提出の組み替え案は歳出総額17・9兆円です。医療の強化、検査の徹底に4・5兆円、持続化給付金の再開をはじめ事業、雇用への支援に7・5兆円を充てます。生活困窮に3・4兆円、地方自治体に2・5兆円の対策も盛り込んでいます。
「Go To」事業、災害復旧以外の「国土強靱化」、軍備購入の前払いといった不要不急の経費6兆円は政府案から撤回します。
緊急事態への対応は一刻の猶予もなりません。参院で徹底審議し、与党は野党の組み替え要求に応えて、国民が求める補正予算に改めるべきです。