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2021年1月26日(火)

医療崩壊始まっている

党都委員会新型コロナ対策本部長 谷川智行さんに聞く

 新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が再発令されています。医師として発熱外来を行っている谷川智行さん(日本共産党東京都委員会新型コロナ対策本部長/衆院東京比例・東京4区重複予定候補)に現状を聞きました。(仁田桃)


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(写真)発熱外来で診察をする谷川智行さん

 病院やクリニックで発熱外来を担当しています。近隣の医療機関や高齢者施設でのクラスターも増え、世代を問わず患者さんが増えています。

 ぜんそくでせきが出ている人なども含め、新型コロナの疑いのある人は、すべて発熱外来で診ます。院内感染を防ぐためです。一人診察するたびにエプロンと手袋を替え、椅子やドアノブを消毒します。

 感染が疑われる人は、PCR検査が陰性でも最低10日間の自宅療養が必要です。しかし、「雇い止め」などを恐れて、検査自体をためらう人もいます。安心して検査を受けられる条件をつくるのが政治の責任だと痛感します。

 医療現場は“目の前のことをがんばろう”と必死です。しかし、先が見えず苦しんでいます。

 コロナ病棟では、レッドゾーン(汚染区域)で働くのは初めてというスタッフがほとんどです。食事中も会話せず、同じ方向を向いて黙々と食べます。緊張感とストレスで体調を壊す人、コロナ病棟で働いていると家族に言えない人もいます。

 医療崩壊は始まっています。救急車の搬送先が何時間も見つからず、他県に搬送される例もあります。入院できず自宅で待たされている高齢者もいます。

 八王子市は、市内の医療機関や高齢者施設に対し、新型コロナ患者が発生した場合、「心肺蘇生を実施しない」と意思表示している方については、それぞれの施設内で「介護、看護し続けていただかざるを得ないケースが出てきた」として、事態に備えた対応ができるようにと呼びかけています。心肺蘇生を望まないことを理由に、通常の医療が制限されるとすれば、重大な事態です。

 いま起きている命の危機は、長年にわたる医療費抑制政策と、無為無策・逆行の新型コロナ対策による人災そのものです。現場は必死ですが限界があります。政治の責任が問われています。


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