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2021年1月20日(水)

主張

菅政権の対中姿勢

無法に物言わぬ卑屈さ改めよ

 中国当局の香港での人権侵害、弾圧や新疆ウイグル自治区での少数民族抑圧に国際社会から批判が高まっています。18日に召集された国会で、菅義偉首相の施政方針演説と茂木敏充外相の外交演説はこれに一言も触れませんでした。中国による覇権主義、人権侵害をどう抑えるかは今の国際社会の重大問題です。政府の基本方針を示す演説で沈黙する姿勢は卑屈としか言いようがありません。

香港の人権侵害批判せず

 中国の立法機関が昨年6月、「国家安全維持法」を制定、施行して以来、香港の民主主義破壊は日を追って非道さを増しています。

 6日には前立法会議員を含む50人余が同法違反の容疑で逮捕されました。民主派が予備選挙を行って候補者を絞り、立法会議員選挙で多数を獲得して行政長官を辞任に追い込もうとしたことが「政権転覆」にあたるという容疑です。選挙で議会の多数派をめざす活動を罪に問うなど、選挙権、被選挙権を否定する政治弾圧です。

 中国当局が香港で行っている人権侵害は中国が言うような内政問題ではありません。中国自身が国際社会に約束した「一国二制度」に反し、国際人権規約など中国が賛成、支持してきた一連の条約、国際取り決めを踏みにじる行為です。欧州連合(EU)や各国政府は厳しく批判しています。

 昨年10月には国連総会第3委員会でドイツなど39カ国が、香港とウイグル自治区での人権侵害に重大な懸念を表明する共同声明を発表し、ウイグルとチベットでの人権尊重と調査、香港の事態の即時是正を求めました。中国と良好な関係を持っていた国を含めEUのほとんどの国が加わりました。

 安倍晋三前政権以来、政府は中国による香港、ウイグル自治区での人権侵害に腰の引けた対応しかしてきませんでした。菅首相は施政方針演説で日中関係について「両国にはさまざまな懸案が存在します」「主張すべきは主張し、具体的な行動を強く求めていきます」と述べましたが、人権問題への言及は皆無です。外交演説も同様でした。菅政権はこのだらしない態度を改めるべきです。

 東シナ海、南シナ海での中国の覇権主義的行動に対しても政府は理を尽くした批判を避け続けています。昨年11月の日中外相会談後の共同記者会見で王毅(おう・き)外相は、尖閣諸島周辺での中国公船の実力行使を日本漁船の責任であるかのように描きました。茂木外相は、目の前で行われたこの発言に反論しませんでした。首相が施政方針で尖閣問題に触れなかったのも情けない姿です。

国際世論で外交的包囲を

 その一方、前政権と菅政権は、中国の覇権主義的行動を軍拡や「戦争をする国」づくりに利用してきました。軍事的対応を強めることは“軍事対軍事”の危険な悪循環にしかなりません。中国の覇権主義、人権侵害には、国連憲章と国際法の順守を迫る国際世論を高め、外交的に包囲していくことが重要です。

 国際法を無視した中国の無法な行動は「社会主義」と無縁であり、「共産党」の名に値しません。日本共産党はこれまで、事実と道理に基づいて中国の誤りを批判してきました。どんな大国の覇権主義ともたたかってきた党として今後も責任を果たしていきます。


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