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2021年1月19日(火)

主張

首相施政方針演説

高まる批判に全く反省がない

 菅義偉首相が就任後初となる施政方針演説を行いました。演説はその年の政府の基本方針を明らかにするものです。新型コロナウイルス感染の急拡大の中で、首相の発する言葉に注目しましたが、心に全く響きません。かつてない苦難に直面している国民に努力を求めるばかりで、政府自らが真剣に取り組む姿勢がないからです。4カ月前の就任以来強権ぶりを見せつけてきた日本学術会議への人事介入や、続発する「政治とカネ」問題への反省もありません。菅首相に政治のかじ取りを任せることはできません。

急落する内閣支持率

 施政方針演説の当日、「読売」は内閣支持率が39%に急落し、不支持率が49%と政権発足以来初めて支持と不支持が逆転した世論調査結果を報じました。「毎日」調査(17日付)も支持率が33%に下落し、不支持率が57%と大きく広がりました。

 国民の厳しい批判が集中しているのは菅政権の無為無策のコロナ対策です。深刻化する感染拡大にまともな手を打とうとせず、むしろ「Go To キャンペーン」に固執し続けることで、危機的事態を引き起こしてきました。2度目の緊急事態宣言を出す状況に至っても、首相に根本的な反省はありません。

 施政方針演説ではPCR検査の抜本的拡充には全く触れず、医療機関への減収補填(ほてん)や時短要請に応じた飲食業への十分な補償にも踏み込もうとはしません。それどころか、要請にこたえない業者に罰金を科す罰則規定の導入などを打ち出しました。国民の不安にこたえ、理解と納得を得るのではなく、力ずくで進めることは感染抑止への逆行以外の何物でもありません。「国民の命と健康を守り抜く」というのなら、態度を改め、全額国費での「社会的検査」と医療体制の本格的支援や自粛要請に対する補償を実行すべきです。

 すぐに審議に入る2020年度第3次補正予算案は、「Go To」事業の期間延長や大型公共事業に多額の予算を投じるもので、感染急拡大と緊急事態宣言再発令という事態に全く対応していません。作り直しが不可欠です。

 菅首相が繰り返してきた「自助・共助」「まずは自分でやってみる」の言葉は施政方針演説では消えました。「自己責任」を迫る姿勢への国民の批判を意識したものですが、75歳以上の医療費の窓口負担の引き上げは明言し、冷たい政治を変える立場ではありません。「グリーン」をうたい文句にした原発推進や、沖縄での米軍新基地建設の推進を表明したのは民意無視の極みです。菅政権を国民の声で追い詰めることがますます必要です。

「国民の信頼」得られぬ

 菅首相は、安倍晋三前首相の「桜を見る会」前夜祭問題をめぐる自らの過去の国会答弁について「おわび」したものの、おざなりです。在宅起訴された吉川貴盛元農林水産相らの「卵」汚職について触れなかったのは言語道断です。これで「政治家にとって何よりも国民の信頼が不可欠だ」といってみせても空疎なだけです。

 菅首相が改憲議論を改めて呼びかけたのも、この政権の危険性を浮き彫りにするものです。野党と国民のたたかいで強権的で冷たい菅政権を倒し、政権交代を実現することがいよいよ急務です。


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