2021年1月14日(木)
米下院 大統領解任要求決議を可決
弾劾訴追案を採決する構え
【ワシントン=遠藤誠二】米連邦下院は12日、議会議事堂にトランプ大統領支持者が乱入し暴動を起こした件で、大統領を解任する憲法修正25条の発動をペンス副大統領に求める決議案を採決し、賛成多数で可決しました。ペロシ下院議長は、副大統領が決議に応じなければ、すでに提出している弾劾訴追案を下院で採決する構え。訴追案は可決される見通しです。
ペンス副大統領は同日、ペロシ下院議長に書簡を送り、「(25条の発動は)米国の国益とはならず、憲法に合致するとは考えない」と述べ、議会の要請には応じない考えを示しました。
トランプ大統領は12日、暴動後、初めて公の場に姿を現し、支持者を議会棟に乱入させた自らの責任を完全否定。「(6日の)私のスピーチを読むなら、私が言ったことは完全に適切だった」などと述べました。
暴動は6日午後に発生。上下両院合同会議が、大統領選を受けた選挙人投票の最終確認を行っていたところ、選挙結果を認めない多数のトランプ支持者が議事堂内に乱入し、5人の死者を出す暴動に発展しました。
議会乱入の前に、トランプ氏が支持者らを前に演説し、議会に向かうよう促していました。提出された弾劾訴追案は、トランプ氏のこの行為を「暴動の扇動」と断定しています。
トランプ大統領に対しては、共和党内部からも批判が続出しています。米メディアによると、チェイニー元副大統領の娘で、共和党下院幹部のリズ・チェイニー氏含む5人の下院議員が弾劾訴追に賛成を表明。ニューヨーク・タイムズ紙は、マコネル上院院内総務が、トランプ氏の行為は弾劾に値すると周囲に語ったと報じました。
米軍統合参謀本部の幹部は12日、米軍兵らへの共同メッセージを送りました。「6日にワシントン特別区で起きた暴動は、連邦議会、議事堂、われわれの憲法上のプロセスへの直接的な攻撃だった」「憲法上のプロセスを妨害する行為は、われわれの伝統、価値、誓約に対してだけでなく、法に反するものだ」と非難しています。