2021年1月6日(水)
米グーグルで労組結成
セクハラ・差別・軍事協力に抗議
米IT大手グーグルと親会社アルファベットの従業員らが労働組合を結成したことが明らかになりました。米紙ニューヨーク・タイムズの報道によると、4日時点で400人以上の従業員が加盟しています。公正な労働環境の実現と倫理にかなったビジネスの実践が目的です。(石黒みずほ)
同社は2018年、従業員へのセクハラを告発された2人の幹部に対し、責任の追及なしに多額の退職金を支払ったと報道されていました。それに抗議し、全世界で約2万人の従業員がストを実施しました。
同年、同社が人工知能(AI)を使った小型無人飛行機で攻撃精度を高める国防総省の事業に協力していたことも発覚。多くの従業員が、軍事協力に反対して抗議しました。
20年には、同社のAI研究者の中でも数少ない黒人女性のティムニット・ゲブル氏が、AIに潜む偏見を指摘する論文を出したことを理由に解雇。人種差別だとして、批判が広がっています。
労組の執行委員長となったパルル・コール氏らは、ニューヨーク・タイムズ(4日付)に寄稿し、「差別的、非倫理的な労働環境は、一握りの裕福な経営者にとって都合の良いものであっても、権力を持たない労働者たちがその犠牲を払っている」と批判。労組結成で、「労働者が不当な扱いや報復、差別を恐れることなく、公正な賃金のために働けることを保証するために取り組んでいく」と述べました。
カリフォルニア州立大学で法律を教えるビーナ・ドゥバル教授は同紙の取材に対し、グーグルのような大手IT企業での労組結成はこれまで妨げられてきたと指摘。「労組の運動が発展すれば、労働者にとどまらず、社会におけるテクノロジーの力自身に影響を与えることになる」と述べました。