2020年12月30日(水)
学術会議介入に抗議 1349
学会の声明 過半数突破
民主主義の危機・思想統制に懸念
菅内閣による日本学術会議の会員任命拒否問題にたいして、抗議や懸念を表明した団体が、29日までに1349にのぼることが、「安全保障関連法に反対する学者の会」調べで分かりました。「学問の自由」への侵害を批判すると同時に、ひいては大学のあり方、民主主義の危機だととらえているのが特徴で、国際的な批判も高まっています。
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「学者の会」調べの内訳は、学者・研究者の団体である学協会(学会)が1062、大学・大学人関係が78、法曹関係が62、労組・諸団体が147。問題発覚から3カ月で学会全体(2065)の過半数に達するなど、危機感はかつてないものとなっています。人文・社会科学系の310学会は共同声明を英語でも発表。「かつてのような言論統制の時代に一気に転げ落ちるのか。日本社会は重大な岐路にいる」(日本近代文学会運営委員長の佐藤泉・青山学院大教授、2日の記者会見で)と警鐘を鳴らしました。
140以上の国や地域を代表する学術団体が加盟する国際学術会議も、菅内閣の決定が「日本における学問の自由に与える影響をきわめて深刻に捉えている」との書簡を日本学術会議に発出(11月17日付)しました。
法曹関係の抗議声明も増えています。日本弁護士連合会はじめ各地の弁護士会・連合会49が決定の違法性を検証したうえで反対を声明。28日に声明をあげた長崎県弁護士会は、学問への弾圧の歴史を振り返り、「被爆地長崎において法に携わる団体として、再び、学問の自由の弾圧につながりかねない政府の行為を看過できない」としています。また、「思想統制的なメッセージとなる」(東北弁護士連合会会長声明)「我が国の民主主義に対する重大な危険性をもたらす」(長野県弁護士会会長声明)などの批判もあがっています。
また、図書館問題研究会は「本件任命拒否が、図書館が支えるこれらの自由や権利(教育を受ける権利や学問の自由、表現の自由など)を脅かす結果につながることを危惧」。関西学院大教員有志は「税金が投入されている以上は政治が介入して当然であるという論理が通用するならば…国立大学の学長任命はもとより、教員人事や研究費の配分などにも介入が可能とな(る)」として、大学のあり方そのものが問われると警告しています。