2020年12月26日(土)
主張
安倍氏「桜」弁明
どこまで無反省・不誠実なのか
「桜を見る会」前夜祭をめぐり、国会で虚偽答弁を繰り返した安倍晋三前首相への質疑が衆参の議院運営委員会で行われました。安倍氏は、事実に反する答弁があったと認め「おわび」を口にする一方、安倍後援会が費用補填(ほてん)をしていたことを知らなかったなどと言い訳に終始しました。苦し紛れの開き直りという他ありません。秘書の独断で、多額の費用を補填していたというのは常識では考えられません。自己保身のために秘書に責任転嫁する姿勢は、うその答弁を続けた時と全く変わりません。無反省で不誠実な安倍氏に国会議員としての資格はありません。
疑惑はますます深まった
秘書に任せてきた。補填は自分が知らない中で行われていた。秘書から説明があったのは最近だった―安倍氏の議運委での弁明は、自分の責任をひたすら免れようとする言葉が並びました。少なくとも118回も国会でうその答弁をしてきたことについては「結果として事実に反するものがあった」と人ごとのような表現で済ませました。首相という行政府の長が昨年11月から国会を欺き、国会での真相究明を妨害し、審議の土台を崩してきたことへの根本的な反省はみじんも感じられません。
そもそも安倍氏にはすすんで事実を明らかにする姿勢がありません。なぜ前夜祭の出入金が政治資金収支報告書に不記載になったのか。2013年には安倍氏の資金管理団体の報告書に前夜祭にあたる記載があったのに、14年の報告書から記載はなくなりました。
日本共産党の宮本徹衆院議員が理由を説明するよう事前通告し質問したのに、安倍氏は当時の担当者から聞けなかったとごまかしました。14年に発覚した小渕優子経済産業相の後援会観劇ツアー補填をめぐる報告書未記載事件を受けて、安倍氏側が補填を隠蔽(いんぺい)した疑いが濃厚です。前夜祭に参加した地元有権者への利益供与を隠すためではないか。安倍氏には真相を語る大きな責任があります。
ホテル発行の前夜祭明細書の存在はやっと認めたものの、ホテル側が「営業上の秘密」と言っていると述べ、公開に後ろ向きです。安倍氏が記載を修正した政治資金収支報告書をめぐって領収書自体を隠している疑いもあります。安倍氏は、政治資金の透明性につとめると何度も口にしましたが、まるで説得力はありません。
改めて問われるのは、補填の原資です。16年から19年まで4回の前夜祭分だけで補填額は約700万円にのぼります。しかし政治資金の報告書では、安倍氏側のどこから出されたのか不明のままです。日本共産党の田村智子参院議員は、税金を使った首相主催の「桜を見る会」と、前夜祭とセットで地元有権者に「おもてなし」を行ったのではないかとただしました。国政私物化の核心の解明から首相は逃れることはできません。
うそ許さない証人喚問を
安倍氏の議運委での説明は、つじつまの合わないことが数多くあります。国民はとても納得できません。新たに浮上した疑惑もあります。うそを言えば罪になる証人喚問を衆参予算委員会で開催することが不可欠です。安倍氏の言い逃れを許してはなりません。官房長官として安倍氏のうそ答弁をおうむ返しし、真相解明を妨害した菅義偉首相の責任は重大です。