2020年12月25日(金)
英シンクタンク 富裕層増税を提言
人種間の資産格差が拡大
【ベルリン=桑野白馬】低所得世帯の生活水準向上を目指す英シンクタンクのレゾリューション財団は23日、英国で人種間の資産格差が拡大していることを示す報告書を発表し、格差縮小のため富裕層への増税を提言しました。
報告書によると、英国内のアフリカ系黒人の保有資産は成人1人当たり2万4000ポンド(約335万円)と最も低く、白人の19万7000ポンド(約2750万円)に比べて8分の1未満にとどまっています。
バングラデシュ系の平均資産は3万1000ポンド、白人とカリブ系黒人の親を持つ人は4万2000ポンドとなり、人種間の格差が浮き彫りになりました。
財団は声明で、新型コロナウイルスの感染が拡大する前の時点で、アフリカ系黒人、バングラデシュ人、カリブ系黒人世帯の半数以上の貯蓄が1000ポンド(約14万円)未満だったと指摘。感染拡大の深刻化により収入が低迷し、格差拡大が長期化する恐れがあると懸念を示しました。
同財団の経済学者ジョージ・バンガム氏は「政策立案者が人種間の富の格差の深刻さを認識すべきだ」と強調。格差を永続化させないため、富裕層への増税や低所得層への税の軽減といった税制改革に加え、家を購入する際の直接支援などが解決の一助となるだろうと提言しました。