2020年12月20日(日)
米軍廃棄物?から放射能
沖縄の返還地 水源付近
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世界自然遺産の候補地の沖縄県国頭村安田(くにがみそんあだ)の米軍北部訓練場の返還地で見つかった、返還前に米軍が廃棄した可能性の高い金属製の電子部品から放射性物質(コバルト60)が検出されたことが、今月になって分かりました。同訓練場の廃棄物から放射性物質が見つかったのは初めてとみられます。
同部品に付着していた紙や布のような物から人体に有害なPCB(ポリ塩化ビフェニール)も検出。部品は同返還地内のFBJヘリパッド跡の周囲で見つかりました。
大きさは約4センチ四方で、チョウ類研究者の宮城秋乃さんが10月25日、コンクリートで固められた直径約30センチ、横幅約48センチのさびで朽ちた缶の中から19個を発見しました。
放射線量やPCBの濃度は、直ちに人体や自然界に影響を及ぼすレベルではないとされていますが、コバルト60もPCBも、法律で厳密な保管・廃棄が義務付けられています。
県は16日、部品について沖縄防衛局に事実関係の確認と、調査・撤去を求めました。防衛局は適切に対応すると回答しました。
返還地での米軍廃棄物の大量放置問題を告発してきた宮城さんは、今回のような廃棄物が他にも放置されている可能性があると述べ、日本政府や米軍が「自然や生き物たちを粗末にするのは許されない」と訴えました。
琉球大学の矢ケ崎克馬名誉教授(物性物理学)は、米軍が北部訓練場を放射能汚染物質の廃棄場に使っていた可能性を指摘。発見現場の周辺には県民の水源地となっているダムもあり、「そのど真ん中で(廃棄を)やっていることは許しがたい」と述べました。