2020年12月13日(日)
パリ協定5年 「気候正義を」
独の若者 全土で行動
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【ベルリン=桑野白馬】2015年に採択された地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」締結から5年を迎えた11日、世界各地で協定に基づき各国政府が早急な対策を取るよう求める行動が行われました。ドイツでは、気候保護を求める若者たちがつくる「未来のための金曜日」が国内60カ所でデモを行いました。
協定は、今世紀中の世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ2度未満に抑え、さらに1・5度未満にするよう努力すると定めました。しかし各国が提出した温室効果ガス削減の「国別目標」の現状では、3度以上の上昇となる見込みで、目標の大幅な上積みが必要となっています。
首都ベルリンのブランデンブルク門前では、2000個以上のロウソクを並べ、「1・5度のためにたたかう」の文字をつくりました。参加者は「気候正義をいま、実現しよう」と唱和しました。
大学で社会学を専攻するリナ・ゴベーレさん(18)は、「科学者は温暖化が改善するどころか悪化していると警告している」と指摘。「次の数年間の取り組みは、あなたの家族や友人の生死に直結する。各国政府は若者がなぜ声をあげているか理解し、真剣に向き合ってほしい」と語りました。
北部ハンブルクでは、市庁舎に「1・5度のためにたたかう」の文字を投影。西部ケルンの大聖堂そばの橋には「既に気温は1・2度上昇している」と警告する175メートルの横断幕が掲げられました。
日本でも署名訴え
日本では、「私たちに残された時間はない」と、さまざまな環境団体、市民団体、若者のグループが、政府の気候・エネルギー政策の強化を求めて「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーンを10日から始めています。
政府の中長期のエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画」や温室効果ガスに関する「地球温暖化対策計画」の改定作業が始まっています。
呼びかけた団体は、パリ協定に沿う具体策として、2030年までの温室効果ガス排出削減目標を少なくとも50%以上(10年比)、30年の電源構成は省エネを第一に石炭火力と原発ゼロ、再エネ50%以上にすることなどを求める署名を広げています。