2020年11月28日(土)
「桜」前夜祭 2019年 収支記載なし
安倍前首相関連6団体
疑惑発覚後も原資隠蔽か
「桜を見る会」前夜祭の一部費用を安倍晋三前首相側が負担したとされる問題で、27日に公表された同氏関連の6政治団体の2019年分の政治資金収支報告書に、前夜祭に関わる収支が記載されていないことが分かりました。安倍氏の秘書らは東京地検特捜部に補填(ほてん)を認めたと報じられています。6団体の収支報告書は、疑惑発覚から半年以上たった今年5月に提出されており、安倍氏側が補填の原資を隠蔽(いんぺい)しようとした疑いもあります。(丹田智之)
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同日公表されたのは総務相分と山口県選挙管理委員会分の収支報告書で、安倍晋三後援会、晋和会、自民党山口県第4選挙区支部、東京政経研究会、山口晋友会、山口政経研究会の6団体。代表者は、安倍氏か同氏の秘書です。いずれも収支報告書が提出されたのは、安倍氏が国会で追及を受けた後の今年5月18日と同27日です。
前夜祭の主催は安倍晋三後援会で、19年は4月12日に東京都内のホテルニューオータニで開かれました。地元支援者らを800人規模で招き、会費は1人5000円でした。安倍氏を告発した法律家らの調べでは、同ホテルの飲食代は少なくとも1人1万1000円とされています。差額を安倍氏側が補填していた場合は、政治資金規正法違反(不記載)などの罪に問われる可能性があります。
安倍氏は国会答弁で、前夜祭について「全ての費用は参加者の自己負担で支払われており、安倍事務所や安倍晋三後援会としての収入や支出は一切ない」と主張。収支報告書に記載する必要はないと説明してきました。
安倍氏を規正法違反の疑いなどで刑事告発した「『桜を見る会』を追及する法律家の会」事務局長の小野寺義象弁護士は「前夜祭の疑惑が大問題となっていたにもかかわらず、安倍氏側が虚偽の収支報告書を提出したとすれば極めて悪質です。官房長官として安倍氏の主張を追認してきた菅首相の問題でもあります。補填した資金をどこから拠出したのか解明すべきだ」と述べています。