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2020年11月26日(木)

EU域内の消費者保護強化

欧州議会法案採択 集団訴訟を可能に

 【ベルリン=桑野白馬】欧州議会は24日、欧州連合(EU)域内の消費者保護を強めるため、消費者団体が消費者を代表して大企業を訴える集団訴訟を可能にする法案を採択しました。ディーゼル車の排ガス不正など、多国籍企業による消費者の権利の侵害が相次いだことへのEUの対応の一環です。

 同法案は、消費者を大企業と対等な立場に置き、販売停止・禁止や損害賠償を請求できるようにするもの。個人が法廷に訴える際に直面する時間や高額な費用という壁を克服するとともに、企業による不法行為対策を改善することが目的です。

 EU加盟国の中で、現在、集団訴訟制度が整備されているのはベルギー、フランス、イタリア、ポルトガル、スペイン、スウェーデンの6カ国だけです。法案は、複数の加盟国にまたがる被害に対しても、複数の消費者が共同で権利救済を要求することを可能にします。今後、加盟27カ国すべてが法案に沿って国内の法制化を進める必要があります。2年以内に法律として成立する見込みです。

 2015年に発覚した独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題では、VWは米国の消費者に補償金の支払いをした一方、欧州の消費者への個別の支払いはありませんでした。これを契機に消費者の権利を守る必要があるとする機運が高まり、EUレベルでの法案導入が進められてきました。

 フランスのジョフロイ・ディデェ欧州議会議員は声明で「欧州の消費者はこのような保護を受ける必要がある。誰もが1人で裁判を起こすのは時間とコストがかかり、不確実だということを知っている」と述べました。


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