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2020年11月25日(水)

大阪、沖縄のオンライン演説会

科学を政治のしもべにしてはならない

志位委員長の訴えから

 日本共産党の志位和夫委員長が大阪(21日)と沖縄(23日)のオンライン演説会で行った訴えのなかから、学問の自由について論じた部分を紹介します。

憲法に学問の自由が明記されたのは、歴史の反省を踏まえたもの

 そもそも日本国憲法が、思想・良心・言論の自由などとは別に、学問の自由の保障を別の条項(憲法23条)で特別に明記しているのはなぜか。

 学問の自由の保障を別の条項で明記している憲法というのは世界でもそんなに多くないといわれています。日本の憲法が、独立した条項で学問の自由の保障を明記しているのは、歴史の反省を踏まえたものなのです。

 1933年の滝川事件、35年の天皇機関説事件など、戦争に向かう時期に、政権の意に沿わない学者が弾圧されました。これが歴史の大きな分水嶺(れい)になっていきました。天皇機関説事件の後、「国体明徴声明」というのが出されるんです。「国体」――日本は天皇が統治する国家であり神聖不可侵だという声明が出される。この観念が社会全体に徹底的にたたき込まれました。(敗戦までの)最後の10年間は子どもたちにも「国体」が徹底的にたたき込まれました。軍国少年、軍国少女がたくさんつくられたわけです。そうやって学者の口をふさぎ、国民の口をふさぎ、科学者を戦争に総動員し、国を滅ぼした。この歴史の反省に立って、憲法に学問の自由の保障が明記されたということを忘れてはなりません。

 ですから私は訴えたい。こうした歴史にてらしても、今回の問題(学術会議への人事介入問題)というのは、一部の学者の問題ではないんです。任命拒否された6人の方だけの問題ではないんです。日本学術会議だけの問題でもない。国民全体の基本的人権が脅かされている。国民全体の問題なんだということを、私は訴えたいと思います。

本当の意味で科学を尊重する政治にしていかなければならない

 そして科学と政治――この関係がいま問われていると思います。

 私は、科学と政治は論理が違うと考えています。

 政治というのは、少数意見を大切にしながら議論をつくし、最後には、多数決の原理が働きます。しかし、科学はそうではありません。科学というのは多数決ではなくて、真理かどうかで値打ちが決まります。真理かどうかをどうやってはかるか。実験、観測、実証、論理、これらで見極められていく。

 そして、科学というのは、真理は、最初は必ず少数から始まるんです。ガリレオ・ガリレイ(1564~1642年)が地動説を唱えました。ガリレオは一人でもそれを唱え、みんなは信じなかったけど唱え、異端として迫害されたけれども、「それでも地球は動いている」と言ったという逸話は有名です。

 真理は、最初は少数からはじまる。ですから科学が発展するためには、何よりも自由と自主性と独立性が大切なんです。学問の自由は科学の本質が求めているものなのです。科学を政治の支配下に置いてしまったら科学は死んでしまうんです。そんなことになりましたら社会全体の進歩がそがれ、国民全体の利益も損なわれてしまいます。こういう点でも、今回の問題は、国民みんなの問題だということを私は訴えたいんです。

 私は訴えたい。科学を政治のしもべにしてはなりません。本当の意味で科学を尊重する政治にしていかなければならないということを訴えたいと思います。

党の存在意義にかかわる重大な責任と自覚して頑張りぬく

 日本共産党は、この問題をたいへん重視しております。私も衆議院の予算委員会で全部の時間をつかってこの問題をただしました。なぜ重視しているのか。それは日本共産党が、戦前の侵略戦争と専制政治に命がけで反対を貫いてきた唯一の政党だからです。誤った歴史を繰り返させないことは、党の存在意義にかかわる重大な責任と考えているからであります。そういう党として違憲・違法の任命拒否を撤回させるまで頑張りぬく、その決意をここで述べるとともに、ぜひ力を合わせて民主主義を守る取り組みに立ち上がろうということを呼びかけたいと思います。


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