2020年11月24日(火)
学術会議問題 菅首相答弁ファクトチェック
「推薦前の調整が働かず、結果として任命に至らなかった者が生じた」
政治介入の本音を吐露
菅首相は5日の参院予算委員会で「以前は推薦名簿の提出前に内閣府と学術会議会長との間で一定の調整があった」と主張。「今回の任命にあたっては推薦前の調整が働かず、結果として推薦された者の中に任命に至らなかった者が生じた」と任命拒否を正当化しました。
2017年まで6年間、学術会議会長を務めた大西隆氏は、官邸側と事前に「調整」して推薦名簿を変更した事実はないと否定。今年9月に退任した山極寿一前会長も人事をめぐる事前調整はなかったとメディアの取材に答えています。
16年と18年の補充人事に際しては、官邸側が事前に推薦名簿の提示を要求し、名簿の変更を求めるなどしました。学術会議側は変更に応じず、会員は欠員のままとなりました。
「調整」の内容について首相は「任命にあたっての考え方を申し上げ、意見交換した」と繰り返しました。任命前に推薦名簿に対して意向を反映させようとすること自体、学術会議の独立性を脅かす露骨な政治介入です。事前の「調整」がなかったから6人を任命しなかったという答弁は、政権の意に沿わない人事をいくらでも拒否するという首相の本音が表れたものです。