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2020年11月16日(月)

「感染対策で人種差別」

アマゾンを提訴 集配施設解雇の元従業員

米NY

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(写真)アマゾンの集配施設前で「私たちの健康も必要不可欠だ」と書いたプラスターを掲げるスモールズ氏(10日の本人のツイッター投稿から)

 【ワシントン=遠藤誠二】インターネット通販大手アマゾンの元従業員が12日、職場での新型コロナウイルスの感染防止策で、白人管理職と黒人・ヒスパニック系の現場労働者との間に差別があったとして、同社を相手取って、損害賠償と差別是正を求める訴訟をニューヨークの連邦地裁に起こしました。

 訴えを起こしたのはニューヨーク市スタテン島の集配施設で働き、3月に解雇されたクリスチャン・スモールズ氏。同氏自身は黒人です。

 スモールズ氏は12日の記者会見で、会社が連邦・ニューヨーク州政府のガイドラインに違反して、現場で働く従業員に十分なウイルス防護具を支給せず、必要なソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)の措置もとらなかったと告発しました。また「白人のマネジャーは一人一人隔離の措置がされていた」が、現場で働く労働者に対しては、「彼ら(白人従業員)は休暇をとっているだけだと言われた」などと会社の差別的対応を批判しました。

 スモールズ氏自身は、職場での感染対策の強化を求めて3月末に同施設で実施されたスト直後に、解雇。アマゾンは、会社の感染対策を批判する従業員を狙い撃ちにして解雇していると批判されており、5月にはブレイ副社長が会社の対応に抗議して辞任しています。

 スタテン島の集配施設では6月に、労働者3人とその家族が、会社の不十分な感染対策によって労働者や家族が危険にさらされているとして提訴。アマゾン社に対する同様の提訴が各地で相次ぎました。アマゾンの10月1日の発表では、3月1日から9月19日までに同社の従業員約1万9800人が新型コロナに感染しました。

 米フォーブス社が9月に発表した長者番付で、アマゾン創設者でCEO(最高経営責任者)のジェフ・ベゾス氏は3年連続首位となり、総資産額は1790億ドル(約19兆円)と昨年から57%増加しました。同氏はコロナ禍の「巣ごもり」需要に乗って資産を大幅に増やしていますが、アマゾンの現場従業員は感染拡大や人種差別という深刻な状況下におかれています。

 スモールズ氏は「この訴訟は、アマゾン対私ではなく、アマゾン対人々のたたかいだ」と指摘しています。


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