2020年11月7日(土)
審議中断12回30分 手元の紙を棒読み
小池書記局長質問に菅首相しどろもどろ
手元の紙を棒読み
参院予算委
菅義偉首相が日本学術会議の会員6人の任命を拒否した問題を日本共産党の小池晃書記局長が厳しく追及した6日の参院予算委員会。学術会議問題での小池氏の追及は1時間10分に及びました。質問のたびに審議が中断。人事介入の核心を追及されると、菅首相は委員長の指名を受けても答弁に立ちあがれなくなりました。審議の中断は少なくとも計12回、約30分間にのぼりました。(丹田智之)
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前日の質疑で菅首相は「推薦前の調整が働かず、結果として任命に至らなかった者が生じた」と新事実を持ち出しました。「調整というのは名簿の中身の調整ではないか」と人事介入を指摘した小池氏。菅首相は「ちょっとお待ちください」と告げて自席に戻ると、手元の紙をパラパラとめくりながら官僚に助けを求めました。
5分間の中断後、ようやく答弁に立った菅首相は「任命に関する一定の考え方について意見交換をした」と質問にかみ合わない答弁を連発。そのたびに野党の理事が委員長席に集まり、答弁のやり直しを求めました。
野党席からは「答えになっていない」「秘書官の『公助』を受けてばかりじゃないか」との声が上がりました。
助け船の場面
しどろもどろになる菅首相に加藤勝信官房長官が助け船を出す場面も。加藤氏は小池氏に求められてもいないのに答弁に立ち、推薦名簿が提出される前に調整があった、と説明。直後に答弁に立った菅首相は「いま官房長官が言った通りです」と述べ、すぐ自席に引き下がりました。
「総理が『一定の調整が行われた』と言ったのだから、自分の言葉で説明してください」と野党席から抗議の声が上がります。再び審議がストップし、委員会室は騒然となりました。
議場に緊張感
さらに小池氏は、日本学術会議の独立性と学問の自由の保障を菅首相がどう理解しているのか、と問います。ここでも菅首相は官僚に答弁内容を何度も確認。「憲法15条1項に基づけば…」「推薦された方々をそのまま任命しなければならないわけではなく…」と手元の紙を棒読みしました。
戦前の滝川事件、天皇機関説事件をあげ、「権力の側はいつでも自由を守ると言いながら、自由や人権を迫害してきた。菅首相がやっていることは戦前の政府がやった学問の自由の侵害とどこが違うのか」と追及する小池氏。与党席、閣僚席を含め議場が静まり返り緊張感があふれます。それでも菅首相は、学問の自由についての考えを自らの言葉で述べることができませんでした。