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2020年11月7日(土)

主張

コロナ休業支援金

必要な人に一刻も早く届けよ

 休業手当が支払われない中小企業の労働者に国が賃金の8割を補償する「コロナ休業支援金」が必要な人に届いていません。7月の申請開始から4カ月たっても支給決定は予算額の6%程度です。支援が届かない事態を一刻も早く正さなければ、制度の存在意義が問われます。厚生労働省は改善に踏み出しましたが、抜本的な解決が必要です。

労働者が政府を動かす

 支給には、事業主が休業指示を出し、休業手当を支払っていないことが要件となります。最大の問題は、休業指示を確認すれば、休業手当を払っていないことを労働基準法違反に問われるのではないかと考えて協力を拒否する事業主が多いことです。「コロナ危機のために勤務シフトを組んでいない」「店が入居する商業施設が休館した」ことを挙げて「休業は命じていない」と言い張る事業主もいました。いずれも休業指示を出したとみなされる事例です。労働局が適正な指導をすべきです。

 対象を中小企業に限定したため大企業で働く非正規労働者が対象外となることも問題です。大企業と言っても、飲食業で50人以上、宿泊業で100人以上の事業所です。この2業種だけでも60万人以上が申請すらできません。

 首都圏青年ユニオン、全労連や日本共産党が「休業手当が出ていない労働者のための支援金なのに制度の意味がない」と改善を求めていました。粘り強い要請が厚労省を動かし、10月30日、非正規労働者について休業指示が確認できなくても「コロナ前に6カ月、月4日以上の勤務」などが確認できれば支給する方針を示しました。再申請も受け付けます。

 事業主が協力しない場合でも勤務日が記された労働条件通知書やシフト表、給与明細などで支給要件を確かめ、明細がなくても各地の労働局が事業主に確認して支給を決定します。事業主向けリーフレットには、商業施設が休館となった場合など外的要因であっても「事業主が休業させたことにあたる」と明記しました。

 休業手当が支払われない非正規労働者にとって休業支援金は重要な支えです。厚労省の労働力調査によると、休業者が最も多かった4、5月は2カ月合計で正社員の休業者319万人に対して非正規労働者の休業は509万人と1・6倍でした。産業別では非正規が多い宿泊・飲食サービス業と卸売・小売業が3分の1を占めました。非正規労働者が雇用の“調整弁”とされていることは明らかです。苦境にある人たちに行き渡らない支援金であってはなりません。

野党共同法案の審議を

 休業支援金制度の実効性を保障するためには、運用の改善とともに、仕組みを改めていくことが不可欠です。日本共産党など野党4党は共同で休業支援金拡充法案を衆院に提出しました。

 企業規模の要件を廃止して大企業労働者も対象にする▽シフト制や日雇いを繰り返す「日々雇用」を含めコロナ危機以前より労働時間が減った全労働者を対象とする▽休業指示が労基法上の「使用者の責めに帰すべき事由」と解釈されないことを明確にし、事業主の協力を確保する―ことが柱です。

 コロナ危機で苦しむすべての労働者が救済される制度づくりに政府と与党は応じるべきです。


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