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2020年11月1日(日)

任命拒否 抗議急速に

670学会が声あげる

学術会議問題 自然保護・消費者団体も

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(写真)インターネット上に公開される各大学や多彩な学会、消費者団体、宗教団体による政府の日本学術会議任命拒否に対する抗議声明

 菅義偉首相が、日本学術会議の6人の新会員を任命拒否したことへの批判が幅広い分野で急速に広がっています。任命拒否が明らかになった10月1日からわずか1カ月間で、670の学協会や大学・大学人をはじめ、自然保護団体や消費者団体、映画人や演劇人、作家、ジャーナリストなど幅広い団体から任命拒否に抗議する声明が出されていることが、「安全保障関連法に反対する学者の会」の調査(10月30日現在)でわかりました。ほとんどの声明は、任命拒否を日本学術会議法に反し、憲法の「学問の自由」に反すると批判。任命拒否の問題を、精神の自由な活動への侵害であり、民主主義の危機ととらえて、幅広い個人・団体が声明を出しています。

「学者の会」調べ

 学会の声明では、任命拒否された6人が人文・社会科学系の研究者であったにもかかわらず、多くの自然科学系の学会が声明を出しています。日本数学会や日本物理学会など95団体や、医学関係の136団体が加盟する日本医学会連合が任命拒否を批判する声明を出しています。

 政治学、法学、歴史学、思想・哲学の学会のほかに、「日本学術会議に対する不当な介入」(日本ポピュラー音楽学会)「6名を任命しなかったことに抗議」(日本儒教学会)などを含め、社会学や教育学、経済学、芸術、宗教学、スポーツ学など幅広い分野から抗議の声が上がっています。

 いくつかの声明には「民主主義社会の根幹をも否定しかねない」(歴史学研究会)、「民主主義と人権尊重という価値観を否定する危険性をはらむもの」(日本女性学会)、「対話を欠いた強権的な統治が学問や文化にたいして行われることになる」(岩切正一郎国際基督教大学長)と、任命拒否は学問の問題にとどまらない民主主義の問題、国民全体の問題と指摘しています。

 学会と大学・大学人以外でも抗議の声は広がっています。労働組合や日本弁護士連合会など法曹界関係、宗教団体、日本ペンクラブや映画人有志など表現者など136団体が任命拒否に抗議する声明を出しています。

 日本自然保護協会と日本野鳥の会、世界自然保護基金(WWF)ジャパンの3団体が自然保護の観点から出した声明は、学術会議の提言が自然保護団体の「理論的な拠(よ)りどころ」になってきたと指摘。任命拒否は、「自由な議論へも圧力ともなり、不要な忖度(そんたく)や萎縮を引き起こし、政策の適切な実施を阻害する」と主張します。

 日本消費者連盟の声明は、任命拒否を「民主主義に対する権力の挑戦」と批判。「次に来るのは市民活動に対する締め付けであり、規制の強化であることは容易に想定できる」と述べます。宗教法人の生長の家は「科学的真理の探究を操作しようとする政治が、宗教的真理の探究を尊重するなどということはあり得ない」と警告します。


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