2020年10月25日(日)
ポーランド 数万人抗議
中絶禁止判決受け
【ベルリン=桑野白馬】ポーランドの憲法裁判所が22日、人工妊娠中絶への規制を強める判断を下したことに対し、女性の権利向上を求める人たちが22、23の両日、全土で計数万人規模の抗議行動を行いました。
ワルシャワでは23日、現地メディアの推計で1万5千人がデモ行進。参加者は、「自分の体のことは自分で決める」などと書かれたプラカードやキャンドルを手に、裁判所前で抗議しました。
警察は22日、催涙スプレーを噴射するなどして参加者を弾圧。政府報道官によると、15人が逮捕されました。
カトリック教徒が多い同国では1993年に、欧州で最も厳しい中絶関連法を制定。性的暴行による妊娠、母体に命の危険がある場合や胎児に先天的な障害がある場合を除く中絶を禁止しました。今回の判断は、胎児に先天的異常がある場合の中絶を認める法律の条項を違憲としました。これが法制化されれば、性的暴行による妊娠などを除き、中絶はほぼ全面禁止となります。
ポーランドで2015年に政権をとった右派政党「法と正義」は司法への介入を強化しています。今回の判決を下した憲法裁の裁判官の多くが政権の意向で指名されています。デモ隊はカチンスキ党首の家の周辺でも抗議行動を行いました。
欧州評議会のドゥニヤ・ミヤトビッチ人権弁務官は、ツイッターに「女性の権利にとって悲しい日だ」と投稿。「判決は経済的余裕のある人に対しては国外での中絶を、それ以外の人にはより大きな試練を与えることを意味する」と批判しました。