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2020年10月17日(土)

主張

「市廃止」住民投票

共同広げ大阪市を守り抜こう

 大阪市の持つ力をいかして、市民の暮らしと福祉を守る希望ある道を切り開くのか。大阪市を消滅させてしまうのか。「大阪市廃止=『都』構想」の賛否を問う住民投票は、11月1日の投票日に向けて、大激戦が繰り広げられています。

サービス低下ごまかせず

 「大阪維新の会」と公明党が推進する「都」構想は、大阪市をなくして四つの特別区に分割するものです。市として存続させるか、廃止するかは、住民サービスのあり方に直結する重大な焦点です。

 「都」構想では、府に財源の多くが吸い上げられるため、特別区の財政基盤は弱体化します。さらに特別区の設置に15年間で1300億円もかけるため、従来の住民サービスを維持できる財政的な保証はどこにもありません。

 市民の不安に対し、維新は告示後、住民サービスの「拡充」「向上」を言い出しました。しかし、「都」構想の協定書に書かれているのは、特別区設置時のサービス「維持」にすぎず、その後は「維持するよう努める」としているだけです。サービスが低下するのは必至です。

 「二重行政解消」で財政的な効果があったとする宣伝もごまかしです。「効果」として例示されたものは「民営化」などによるもので、大半が二重行政と無関係です。むしろコロナ禍で病院予算を削ったことについて批判が出ています。盛んに持ち出してくる成長戦略もカジノ頼みです。

 市の廃止は何の利益もありません。大阪市が持つ政令都市の権限と財源を、市民のために最大限活用し、命と福祉、暮らし第一の政治を実現することが重要です。

 市廃止には、日本共産党をはじめ府・市政の野党がこぞって反対し、取り組みを強めています。市民の立ち上がりも目立ってきました。区の医師会や地域振興会(町会)の中には独自の説明会を開いたところも生まれ、「『都』構想反対」ポスターを自主的に張り出す人も出ています。公明党支持者からも反対意見が出るなど、「大阪市をつぶさんといて」の声と行動は日増しに広がっています。若者たちをはじめとして、SNSで創意的なバナーや動画を発信するグループが数多く登場しています。

 「明るい民主大阪府政をつくる会」と「大阪市をよくする会」が発行したパンフレットや、約100カ所の駅前などで連日配布活動が続く「日替わりビラ」には反響が相次いでいます。

 維新は市民などからの疑問や批判を「デマ」と決めつけるビラを出し、防戦に必死です。そのビラに「疑問はこちらまで」と大阪市の部局の電話番号を載せて「職員が丁寧にお答えします」と書いたため、「市役所の私物化だ」と市民の新たな怒りを招いています。「都」構想を堂々と語れない維新の致命的な弱点と矛盾がいよいよ浮き彫りになっています。

緊迫の大激戦を勝ち抜き

 2015年の住民投票は、大接戦を制して「都」構想を否決し、維新政治に痛打を与えました。今回の勝敗も僅差になるとみられる緊迫した情勢です。市民の手で大阪市を守り抜き、市民とともに動かす新しい政治の出発点にするため、共同を広げる時です。

 菅義偉政権の最悪の補完勢力となっている維新に審判を下し、野党連合政権を実現する上でも、全国的な意義があるたたかいです。


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