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2020年10月15日(木)

主張

核のゴミ処分場

自治体への押し付けをやめよ

 原発からでる核のゴミの最終処分場選定をめぐり、第1段階となる文献調査に、北海道の寿都(すっつ)町長が応募し、神恵内(かもえない)村長が国の申し入れを受諾しました。住民や漁協、観光業界などの反対の声を無視したもので、抗議の声が広がっています。周辺の自治体首長や漁協も反対を表明し、鈴木直道・北海道知事は、核のゴミは「受け入れ難い」と定めた道条例の順守を求めています。

安定性を保証できない

 原発の使用済み核燃料は、危険な放射能の塊です。プルトニウムとウランを取り出し、残りをガラスと混ぜ金属容器に入れて固めたものが高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)です。地下深くに埋めて最終処分する計画です。ガラス固化直後の表面の放射線量は、20秒で致死量に達する強さです。放射能が、原料となったウラン鉱石並みの量に低下するまで数万年かかります。相当な長期間、人間の生活圏からの隔離が必要です。

 日本列島は、海洋プレートと大陸プレートと合わせて四つのプレートがぶつかり合う地殻変動の活発なところです。地震や火山の多さは世界有数で、数万年以上の安定性を保証できる地層があるとは期待できません。

 日本学術会議は、政府の原子力委員会からの依頼に応えて、高レベル放射性廃棄物の処分について検討しました。その「回答」(2012年)では、「万年単位に及ぶ超長期にわたって安定した地層を確認することに対して、現在の科学的知識と技術的能力では限界があることを明確に自覚する必要がある」と指摘しています。

 これまで、文献調査の実施に至った自治体はありません。立地選定がすすまないため、07年度に、文献調査に応じた自治体への交付金が年2億円から年10億円(総額20億円)に、第2段階の概要調査対象となった自治体への交付金は年20億円(総額70億円)に引き上げられました。

 17年度に政府は、国内の3分の2の地域が最終処分場に適しているとする「科学的特性マップ」を作成し、全国各地の自治体への働きかけを始めました。実際、寿都町長は、「電気新聞」のインタビューで、「昨年4月から北海道経済産業局の職員とともに、エネルギー勉強会を開いてきた」(20年8月27日付)と語っています。

 巨額の交付金で最終処分場に応募させるという、自治体の財政難につけ入るやり方はやめるべきです。核のゴミの処分方法が定まらないまま原発を進めてきた矛盾を、自治体に押し付けるのは許されません。政府の責任で、既定路線にこだわらず、使用済み核燃料の処分についての研究・開発を進め、その結論がでるまで厳重な管理を行うべきです。

問われているのは原発

 日本学術会議の「回答」は、「原子力発電をめぐる大局的政策についての合意形成に十分取組まないまま高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定という個別的課題について合意形成を求めるのは、手続き的に逆転」していると指摘しました。

 問われるべきは、核のゴミの発生源である原発をどうするのかということです。日本共産党は、核のゴミを増やさないためにも、原発の運転を中止し「原発ゼロ」を実現するよう求めます。


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