2020年10月7日(水)
学術会議推薦通り任命「義務なし」18年見解
法解釈 内閣府覆す
国会答弁と矛盾 野党に文書提出
菅義偉首相が日本学術会議の推薦した会員候補105人のうち6人の任命を拒否した問題で、内閣府が2018年に首相が日本学術会議の推薦通りに会員を任命する義務はないとの見解をまとめ、内閣法制局が了承していたことが6日、野党合同ヒアリングで分かりました。
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内閣府が提出した文書から判明したもの。憲法で定められた「学問の自由」を保障するため、首相に拒否権はないとした従来の法解釈を覆す重大問題です。政府の任命拒否をめぐっては、「学問の自由」への侵害にあたるとして各学会がこぞって抗議の声明を発表しています。
内閣府が提出したのは、「日本学術会議法第17条による推薦と首相による会員の任命との関係について」(18年11月13日付)と題する文書。同法17条は「日本学術会議が優れた研究または業績がある科学者から会員候補を選考し、首相に推薦する」と規定しており、首相の任命に関しては1983年の同法改定の際、「政府が行うのは形式的任命にすぎない」(中曽根康弘首相=当時)と国会で答弁しています。
しかし、内閣府の提出文書では「首相は、会員の任命権者として、日本学術会議に人事を通じて一定の監督権を行使することができる」「首相に日学法第17条による推薦のとおりに任命すべき義務があるとまでは言えない」と結論付けたうえ、「首相が適切にその任命権を行使するため、任命すべき会員の数を上回る候補者の推薦を求め、その中から任命するということも否定されない」とまで踏み込んでいます。
明らかな法解釈の変更であり、野党議員もこの点をただしましたが、内閣府の担当者は「考え方は従来と変わっていない」「(問い合わせの)経緯については確認中だ」などと強弁。内閣法制局の担当者も「解釈の変更ではない」と答えました。
野党議員は「2017年に、日本学術会議に105人を上回る推薦名簿を持ってくるよう求めたことがあるか」と追及。内閣府の担当者は「現時点では、わからない」と逃げました。