2020年9月26日(土)
コロナ・気候変動 地球の課題
「市民運動が先導役」
国連安保理 事務総長が強調
【ワシントン=池田晋】国連安全保障理事会は24日、新型コロナウイルス感染症を受けた「グローバル・ガバナンス」を議論するオンラインによるハイレベル公開会合を開きました。国連のグテレス事務総長は、新型コロナや気候変動といった国境を越えた課題に国家だけでは対応できず、「市民社会の運動、とりわけ若者主体の運動が、世界の先導役だ」と述べました。
グテレス氏は、国際社会が協力・準備不足でコロナを制御できておらず、対応に「失敗している」と指摘。気候変動をはじめとする壊滅的被害をもたらすほかの問題でも不和と混乱の同じ対応を繰り返せば、「最悪の事態になる」と警鐘を鳴らしました。
その上で、こうした地球規模の課題に対応するには「グローバル・ガバナンスの概念を広げ、企業、市民社会、都市、地域、専門家、若者を取り込んでいく必要がある」と強調。現在の枠組みには、人類の半分を占める女性が決定的に欠けているとも述べました。
一方、米国と中国は、国連総会の一般討論演説に引き続き、非難を応酬。クラフト米国連大使は、コロナ対応をめぐる中国の責任追及と、世界保健機関(WHO)への批判を繰り返し、中国の張軍国連大使は「米国はすでに十分世界でもめ事を起こしており、もうたくさんだ」と反論しました。
非常任理事国からは、安保理改革を求める声があがりました。
9月の議長国ニジェールは、常任理事国の数を増やし、「安保理を民主的、公平にするため拒否権をなくすか、新たな常任理事国にも付与すべきだ」と発言。ドイツは、安保理がコロナ決議採択に数カ月をかけ、信頼を失ったとし「安保理改革の必要性は火を見るより明らかだ」と述べました。
グローバル・ガバナンス 地球規模の諸課題を解決するための国際的な意思決定のしくみを指す言葉。「持続可能な開発目標(SDGs)」は目標16のターゲット8に「グローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加を拡大・強化する」ことを掲げ、同機関として国連総会や安全保障理事会、経済社会理事会など11機関を挙げています。