2020年9月24日(木)
なくすな大阪市
自作ビラ手に
たちあがる市民有志
大阪市を廃止する「大阪都」構想の住民投票(10月12日告示・11月1日投票)で「反対」多数を勝ち取ろうと、市民有志が「残そう、大阪」というキャンペーンを立ち上げました。19日に自作のフライヤー(ビラ)を手に初めて街頭宣伝し、22日までの4連休で計4600枚余を配布。数十枚を持ち帰って周囲に配る人や、1人で街頭に立つ人も現れるなど、「何かしたい」という市民の行動の受け皿にもなっています。(前田美咲)
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キャンペーンを担うのは、SADL(民主主義と生活を守る有志)のメンバーなど、2015年の住民投票で精力的に活動した人や、今回、新たに立ち上がった市民有志。「残そう、大阪」の言葉には、「今度こそ、本当に今の大阪がなくなってしまう」という強い危機感が込められています。
立ち上げメンバーの一人、Koさん(32)は「『大阪市』の名前が消えるだけでなく、歴史、伝統、暮らしが変質してしまう危険がある。私たちのまちは、私たちで守ろうと訴えたい」と語ります。
街では、大阪城をあしらった黄色地のフライヤーがよく目立ちます。「大阪城は市民の寄付で再建された歴史をもつ、市民の共有財産の象徴。市民が築いた文化を守り、次の時代につなげようという意味も込めた」とKoさん。
22日、地下鉄・南森町駅(大阪市北区)周辺の商店街でフライヤーを受け取った女性(25)=北区、会社員=は「絶対反対なわけではないが、何もコロナ禍の今やる必要はない。10万円の給付も大阪市はめちゃめちゃ遅れていた」と、住民投票の決行に疑問符をつけます。「『ちょっと待っての意味で反対に入れよう』という訴えに共感する」
同区に住む会社員の男性(25)は「『反対』に入れるつもり」と語りつつ、「フライヤーを見て投票日を知った」と話しました。
街宣は、市民が足を踏み出す場にもなっています。住吉区に住む女性(41)は、19日、生まれて初めて街頭に立ちました。賛成多数になりそうな雰囲気に危機感を覚え、「何か行動したい」と参加。「『都構想、よく分からない』という人が多い。一人ひとりの声を聞き、じかに話すことが大事」だと語ります。
一人でも多くの人に行動を起こしてもらおうと、工夫をこらす「残そう、大阪」。奈良女子大学の中山徹教授を講師に招いた学習会(22日)では、参加者に街宣予定を配り、「参加できる日に○を」と呼びかけました。10月初めから投票日まで毎日、街頭に出ることをめざし、参加者を募っています。フライヤーは受け取りの良さを踏まえ、2・5万枚超を追加発注しました。
街宣の日程調整などに尽力する女性(36)は「街の人は、私たちが思っているより困惑し、情報を欲していると感じる。『よく分からない』という人と、いかにじかに接することができるかが勝負だ。大阪市廃止を阻止し、維新の力で押し切る感じや、それをよしとする風潮に歯止めをかけたい」と語ります。