2020年9月21日(月)
タイ 民主化求め大規模集会
学生主導 王制改革掲げ
独裁反対 権利求める
【ハノイ=井上歩】タイの首都バンコクで19日から20日午前にかけ、民主化を要求する市民の大規模な集会が開かれました。主催者発表で約5万人が集まり、民主憲法制定や王制改革を求めて体制側への圧力を強めています。
タイでは今年、軍事政権の流れをくむプラユット政権の政治・言論弾圧に反発し、学生や若者が主導する民主化運動が発展。19日午後にバンコクの王宮前広場に集まった参加者たちは“独裁への抵抗”を示す3本指のポーズを掲げ、政治的自由の権利や憲法改正を要求しました。代表らは「国は国民のものだ」と記したプレートを王宮前広場に埋め込みました。
デモ隊は20日、不敬罪の撤廃など王制改革の要求書を携えて、国王の諮問機関である枢密院に向けて行進を開始。警官隊に阻止されましたが、枢密院にあてた要求書を首都警察の代表に託しました。
運動を主導する学生グループは24日に国会前で再度集会を開くとしているほか、1973年の民主化運動(学生革命)で武力弾圧があった10月14日に一斉ストライキを計画しているといいます。
民主派は今回、不敬罪などによる弾圧の危険があるにもかかわらず王室の政治不関与、特権廃止など根本的な王制改革を公然と要求しています。タイで2006年以来、総選挙で生まれた政権が何度も軍のクーデターや司法の政治介入で転覆されており、それらは王制の特権を背景としていました。王室や軍部など伝統的支配層の側に立つプラユット政権は、改革に応じる姿勢を見せていません。