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2020年9月18日(金)

独裁政権の“迫害”判決無効

スペイン 法案閣議決定

フランコ体制賛美も禁止

 【ベルリン=桑野白馬】スペイン政府は15日、約40年にわたって長期独裁を敷いたフランコ総統のもとで迫害され有罪判決を受けた人の判決をすべて無効とし、フランコ政権による内戦や独裁体制をたたえる集会などを禁止する法案を閣議決定しました。


 カルボ副首相は同日の記者会見で、法案の目的を「暗い歴史を二度と繰り返さない」ことだと説明。「真実と正義の下で、過去の負債を支払う」と表明しました。

 66項目にわたる法案には、独裁政権下で処刑されるなどして“行方不明”となった14万人の身元調査のため、国立DNAデータバンクを設立することを盛り込んでいます。

 独裁時代を肯定する「フランコ財団」の違法化に加え、内戦や独裁による犠牲者の墓を壊した人物や、フランコ総統をたたえる団体の行動を許容した公共施設に最大15万ユーロ(約1870万円)の罰金を科すとしています。

 また、カルボ氏は「子どもが国の過去について学習することに重点を置く」とも強調。中・高等教育の教育課程や教師の養成課程で法案に関する学習を組み込みます。

 法案は今後、議会で審議され社会労働党と左派連合ウニダス・ポデモスの連立政権与党に加え地域の諸政党が法案に賛成し、可決される見通しです。右派、国民党や極右政党ボックスは反対を表明しています。

 同国最大の労働組合「労働者委員会」(CCOO)のエンパール・マルティネス書記は「独裁政権とたたかった人たちの尊厳を取り戻す過程の始まりだ」とツイッターに投稿しました。

 2007年には、当時の社労党政権が弾圧犠牲者の遺族支援などを盛り込んだ「歴史の記憶法」を制定。しかし、11年に国民党のラホイ政権が発足し、実施は進んでいませんでした。

 スペイン内戦とフランコ独裁 スペインでは1936年の総選挙を経て共産党、社会党、共和党などが参加する人民戦線政府が成立。これに対し、フランコ将軍率いる極右・軍が武力で反乱を起こし内戦状態に。独伊の支援をうけたフランコ軍が39年に全土を制圧し、同将軍は、75年に死去するまで独裁体制を敷きました。独裁政権は、軍事法廷で人民戦線派約5万人に死刑判決を出すなど、敵対勢力に対して激しい弾圧を加えました。


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