2020年9月16日(水)
カジノ6社と17回面会
誘致検討の東京都 幹部のべ55人
事業者名・発言内容は黒塗り
面談記録を本紙が入手
|
東京都の幹部職員55人(延べ人数)が、カジノ事業者6社と2016年4月から19年2月にかけて計17回にわたって面談していたことが、本紙の取材でわかりました。(岡部裕三)
本紙が都に業者との面会記録を開示請求し、港湾局作成の「カジノ事業者との面談実績(H28~31)」と題する文書(一部開示)を入手し、判明したもの。
小池百合子知事名で開示された文書はA4判2ページ。面談した事業者・来訪者名や発言内容は黒塗りだらけでノリ弁状態でした。面談時期は、国会でカジノを中核とする統合型リゾート(IR)関連法を審議・議決した16~18年の期間とその前後に集中しています。
|
黒塗りの事業者を仮にA~F社とすると、都は19年2月26日にA、B、Cの3社と面談しています。A社とは7回で部課長級のべ17人が対応。B社とは2回で同7人、C社は4回で同17人、D社は1回で部長級2人、E社は1回で部課長級6人、F社とは2回で部長級のべ6人が面談しています。(表)
文書から読める文字は「日本」「東京」「会社概要」「プレゼン」「IR実施法案」程度。
都港湾局の元幹部は「通常、業者と会う時は職員がメモをとり、上司に報告している。17回分の記録がたった2枚とは少なすぎる。局側が記録をすべて開示すると、カジノ誘致を検討している小池知事に叱責されると考えて、要約版しか開示しなかったのではないか」と話しています。
都はきっぱり断念を
カジノいらない!東京連絡会・釜井英法代表幹事の話 小池知事は情報を開示すると都民に約束したにもかかわらず、都政にとって重要課題のカジノに関する公文書を黒塗りだらけで「開示」したことは大問題だ。
私たちが都知事選候補者に出したカジノ問題の公開質問状に、小池氏は従来通りの説明で態度を明確にせず、不誠実な回答だった。コロナ新型肺炎感染が拡大する時代に「3密」のカジノの誘致を検討することは逆行している。都は誘致検討をきっぱり断念すべきだ。
解説
小池知事、検討に固執
東京都は、“お台場カジノ構想”を打ち上げた石原慎太郎知事時代からカジノ解禁・誘致検討を進め、候補地を臨海副都心・青海地区に選定。小池知事もカジノの調査を継続しています。
都は国のIR(カジノを中核とする統合型リゾート)誘致の意向調査に「検討中」と回答し、小池氏は議会の追及や7月の知事選でもカジノ推進の本音を隠し続けてきました。
都議会では日本共産党が一貫してカジノ誘致中止を要求。大山とも子都議は3月の予算特別委員会でカジノ業者との接触状況を質問。港湾局長は「都がカジノ事業者と面談した実績はある」と認めたものの、詳しい内容は答えませんでした。
小池知事は2016年7月に就任してから、「透明化」「ノリ弁をはがす」と公約してきました。
都の幹部は、「小池知事は“情報公開は1丁目1番地”だと公言し、前任知事時代のノリ弁文書を批判した。しかし、小池氏が知事就任後に作成した文書も、都合の悪い部分はノリ弁だらけだ。これまでの都政とちっとも変わらない」と批判します。