2020年9月11日(金)
温暖化ガス濃度 史上最高
コロナでの減少一時的
国連の機関が共同で報告書
|
国連の気候変動にかかわる機関が共同で作成した報告書が9日公表され、今年の大気中の温室効果ガスの濃度が史上最高となり、上昇を続けていることを明らかにしました。新型コロナウイルスの影響で、今年は一時、排出量減少がみられましたが、昨年並みに戻りつつあり、新型コロナの経済対策の中に気候変動対策を盛り込むべきだと提言しています。
報告書「科学で団結して2020」は、世界気象機関(WMO)、国連環境計画(UNEP)、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などが共同で作成。「科学で団結」の報告書は昨年9月の国連気候行動サミット前に発表されたのに続き2回目となります。
報告書によると、2016~20年の5年間の世界の平均気温は過去最高で、産業革命前に比べて1・1度上昇。人間の活動に起因する豪雨・干ばつなどが多発しています。
新型コロナウイルス感染拡大防止のための行動制限、操業停止の影響で、4月の排出量は昨年比で17%減少しました。これは約15年前(06年)の排出量と同等です。経済再開に伴い、6月には排出量が前年比95%程度まで回復しています。
化石燃料による二酸化炭素排出量は、19年は過去最高の367億トンに達しました。これは気候変動に関する国際交渉が始まった1990年比で62%増です。
国連のグテレス事務総長は、世界の気温上昇を1・5度未満に抑えるためには、「2050年の排出実質ゼロを目標とした各国の大幅排出削減が解決策だ」と指摘。「政府は、政策決定を支える一貫して確固とした科学を必要としている」と述べました。