2020年9月10日(木)
安倍政権追い詰めた7年8カ月(7)
屈しなかった沖縄
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「勝つ方法はあきらめないこと」―。辺野古新基地建設に反対する沖縄県民の合言葉のもと、保革を超えた「オール沖縄」のたたかいは、安倍晋三政権による民主主義破壊の強権的な新基地建設を破綻へと追い込みました。
選挙で勝利
安倍首相は2013年、自ら乗り出して圧力をかけ、仲井真弘多知事(当時)が辺野古の埋め立てを承認しました。菅義偉官房長官は「粛々と進める」と冷淡な姿勢で、警視庁からも機動隊を動員し、非暴力の反対運動を排除して工事を強行するなど、権力総動員で強権をふるいました。
これに対し、県民は屈せずたたかい続けました。14年に「オール沖縄」の翁長雄志県政が誕生。翁長知事は15年4月の菅氏との最初の会談で、県民の土地を奪って造った米軍普天間基地の危険性除去のために沖縄が新たな基地を負担しろというのは「政治の堕落」だと断じました。
国政選挙では「オール沖縄」候補が勝利を重ね、翁長知事が病に倒れた後は玉城デニー知事が翁長県政を継承。安倍政権が選挙のたびに菅氏を中心に総力をあげ襲いかかりましたが、強固な民意がこれをはね返しました。
辺野古の現場では工事ゲート前や海上で県民が粘り強く抗議行動を続け、19年2月の県民投票は7割超が埋め立てに反対しました。政治的な審判は下りました。
工事も当初の想定から遅れに遅れた上、埋め立て海域に広がる軟弱地盤の存在により設計変更を余儀なくされています。地盤改良工事にはばく大な費用がかかるうえ、デニー知事が変更申請を承認する見込みはありません。技術的・財政的にも破綻しています。
知事会提言
沖縄のたたかいは、日米地位協定改定の動きでも大きく前進しました。翁長知事が日本の主権侵害など米軍の異常な実態を訴え続け、全国知事会が日米地位協定の抜本的見直しの提言を初めて全会一致で決議。全国各地の地方議会でも地位協定の改定などを求める意見書が相次いで可決されています。
「ヘリ基地反対協議会」の安次富浩共同代表は、「厳しい局面が襲っても、知恵と団結で乗り越えてきました。民衆のたたかいは全国・世界ともつながりました。これからもこの実はさらに大きく膨らむでしょう」と語ります。
次期首相となる自民党総裁選の3候補は、安倍政権の新基地推進の共同責任者です。安次富さんは「安倍政権がかわっても、自民党政治が続く限り沖縄へ基地を押しつけてくる。これを許さないためには、政治への国民の怒りが高まっている中、野党が国民を結集し得るかにかかっている」と力を込めます。(おわり)