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2020年9月7日(月)

黒人史教育に「誤った記述」

専門家委が改善勧告

米バージニア州

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 米南部バージニア州で黒人の歴史に関する学校教育の在り方を検討してきた委員会はこのほど、現在の教育内容は「不十分」で「誤った記述」がみられると指摘し、奴隷制度がもたらした被害や英国からの独立時に黒人住民が果たした役割などを含めて「正確で包括的な」教育が行われるよう改善を勧告する報告書を発表しました。

 バージニア州は約400年前に英領北米植民地で最初に黒人奴隷が連れてこられた州です。州都リッチモンドは南北戦争時、奴隷制の存続を主張した南部連合の「首都」でした。

 教育関係者からは以前から、奴隷制度の問題点などが学校で適切に教育されていないと懸念の声が上がっていました。ノーサム州知事(民主党)は昨年、歴史家、学芸員、学校関係者、教師などでつくる委員会を立ち上げ、教育内容を見直す報告書の作成を求める法令に署名していました。

 8月31日に発表された報告書は、現在の教育内容について、「非欧州系の人々の存在を軽視したり消し去ったりする記述によって傷つけられている」「歴史に対する沈黙が過去の見方をゆがめている」と指摘しました。

 今後は「奴隷解放の日(6月19日)」、バージニア州初のアフリカ系州議会議員、植民地時代に独立を求めて英国とたたかって亡くなった黒人住民などについて学ぶこと、黒人の歴史の学習を卒業要件にすることなどを勧告しました。

 また南北戦争の原因について「北部と南部の文化、経済、憲法上の相違」としか説明されてこなかったと指摘。新たな基準としてこれらの相違が奴隷制度に根源を持っていたことを明確に教えるよう促しています。

 州内の生徒・学生の52%が非白人である一方で教師の82%は白人だとし、より多様性のある教師陣をつくることも優先課題だとしています。

 地元メディアによると、委員会メンバーでシャーロッツビル市教育長のローザ・アトキンス氏は「黒人の歴史はバージニア州の歴史だ。州の歴史を真実に基づき、正直に語る機会が生まれている」と述べました。

 (島田峰隆)


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