2020年9月5日(土)
起訴状など被害者匿名化
法相 性犯罪で法改正検討
森雅子法相は4日の記者会見で、性犯罪の被害者保護に絡み、起訴状などを通じて氏名が加害者側に伝わらないようにするため、関連法改正の検討を指示したと明らかにしました。二次被害を防止することが主な狙いです。
逮捕・起訴される段階で加害者側に示される逮捕状や起訴状には、被害者の氏名が明記されることが一般的です。しかし、知り合いでない間柄で性犯罪が発生した場合、自らの情報が加害者側に伝わり、二次被害を恐れて被害申告をためらうケースがあります。
刑事訴訟法では逮捕状や起訴状に被害者の氏名記載を義務付けていませんが、裁判所の個別判断で警察や検察に明記を求めるケースもあります。このため、「氏名の記載不要」とする要件を条文に明示することを検討し、法相の諮問機関である法制審議会への諮問が目指されます。
性犯罪の刑法改正に向け議論が行われている同省の「性犯罪に関する刑事法検討会」では、委員から「起訴状の匿名化」が指摘され、改正法案作成に向けた「検討すべき論点」には、「起訴状等における被害者等の氏名の取り扱いの在り方」として、氏名など「被害者特定事項」が加害者に知られないための仕組みの導入が挙がりました。
森氏は同検討会の開始のあいさつで、「賛否が分かれていない論点」などについて「検討会の終結を待たずにご報告をいただき」、「法制審に諮問をするなどして対応したい」と述べていました。