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2020年8月22日(土)

主張

秋元議員の再逮捕

疑惑まみれのカジノ断念せよ

 カジノ汚職事件の収賄容疑で逮捕・起訴された秋元司衆院議員(自民党を離党)がまたも逮捕されました。自分の裁判でうその証言をするよう贈賄側に頼み、報酬の提供を持ちかけた組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の疑いです。保釈中の国会議員が逮捕されるのは前代未聞です。しかも罪をごまかすため金の力で裁判をゆがめようとした行為は、極めて悪質です。安倍晋三政権が「目玉」政策とするカジノをめぐる闇は深まるばかりです。真相の解明とともに、疑惑まみれのカジノ事業はきっぱり断念すべきです。

首相の説明責任問われる

 秋元議員は、日本のカジノ事業への進出を狙った中国の企業に便宜をはかり、その見返りに多額の賄賂を受け取ったとして昨年12月~今年1月、2回逮捕されました。同氏は安倍内閣の内閣府副大臣としてカジノを中核とするIR事業を担当していました。カジノ推進法案が強行採決された時は衆院内閣委員会委員長でした。起訴後の2月に保釈されましたが、疑惑についてまともに説明せず、議員活動を再開していました。

 今回の秋元議員の逮捕容疑は、6月と7月に知人を介して贈賄側に虚偽証言を依頼、報酬として数千万円の供与を申し込んだというものです。自らの疑惑で説明責任を果たさないばかりか、裁判でうその証言を求めるなど言語道断です。国会議員の資格がないことは明らかです。

 重大なのは、秋元議員と共謀し虚偽証言を働きかけて逮捕された同議員の知人・淡路明人容疑者と安倍首相との関係です。同容疑者は、悪質マルチ商法で被害を出した「48(よつば)ホールディングス」元社長で、首相と一緒に写った写真を勧誘に利用していました。2016年の「桜を見る会」には首相の後援会バスで入場していました。首相は国会での追及に「個人的な関係は一切ない」と弁明しますが、全く説得力はありません。淡路容疑者がいかなる経緯で首相らと接点を持つようになったかなど説明責任は免れません。

 カジノ汚職の発覚以来、安倍首相らが浮上している疑惑について国民に説明しないこと自体大問題です。中国企業のカジノ問題では、秋元議員以外の複数の与党政治家らに金が渡っていたことも判明しています。17年の日米首脳会談で訪米した首相に、トランプ大統領が米国のカジノ企業の営業許可を強く働きかけたという報道もあります。

 海外カジノ業界と日本の推進派がどう結びつき、どんな経過で国策に位置付けられたのか。徹底的にメスを入れる時です。臨時国会の早期召集は不可欠です。

計画の行き詰まりあらわ

 政府の推進スケジュールも狂っています。カジノ制度設計の詳細を盛り込む「基本方針」の決定は予定より大幅に遅れ、いまも見込みがありません。カジノ汚職事件に加え、新型コロナウイルスの感染拡大で世界のカジノ市場が大打撃を受けたことの影響です。

 日本に進出を画策していた世界最大のカジノ運営企業も撤退を表明しました。誘致に前のめりの横浜市は「実施方針」の公表を延期しました。首長が推進に積極的な自治体では住民がカジノ誘致に反対の声を上げています。矛盾と破綻が明白になったカジノは白紙撤回するしかありません。


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