2020年8月18日(火)
タイ 民主化運動拡大
若者ら弾圧反発 民主憲法制定要求
【ハノイ=井上歩】タイで民主化を要求する若者主導の運動が拡大しています。16日にはバンコクで1万人を超える人々が集会を開き、民主的憲法の制定を求めました。
タイではクーデターでできた軍事政権の流れをくむプラユット政権や体制派の政治弾圧に反対する集会が7月以降、各地で再び活発化。16日の集会は現政権下で最大規模の抗議行動となりました。
バンコクからの報道によると、人々は「言論の自由は私たちの権利」「真の民主主義を」などのプラカードを掲げて民主記念塔前の集会に参加。議会の解散、新憲法制定、批判者に対する弾圧中止の3項目の要求を政権につきつけました。
参加者からは、不敬罪の廃止や王室の政治不関与、特権廃止を求める声が公然とあがっており、民主共和制への体制変革の要求も高まっているとみられます。クーデターや司法介入で権力維持を図ってきた軍や王室など伝統的支配層とは相いれない立場で、対立が先鋭化する可能性を含んでいます。
タイでは農民らを基盤とするタクシン元首相の支持派と伝統的支配層との政治対立が長年続いてきましたが、今回運動を起こしたのは大学生、高校生ら新しい世代。軍政の言論・政治弾圧に抵抗し、19年の「民政移管」の総選挙では反軍政を掲げた新未来党躍進の原動力となりました。しかし今年も2月に新未来党が解党されたり、8月に反体制派の弁護士が逮捕されたりする抑圧が続いており、反発を強めています。
運動は学生や若者が中心ですが、労働者や文化人らにも広がっているとしており、「自由市民のグループ」を名乗っています。