しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年8月18日(火)

ベラルーシ 大統領選「不正」に抗議

首都22万人デモ 暴力的鎮圧に反対

 旧ソ連のベラルーシで6選をはたしたルカシェンコ大統領への抗議デモが拡大しています。9日実施された大統領選挙から16日には1週間となり、英BBCロシア語版によると、ミンスクで約22万人、西部ブレストや東部のモギリョフ、ゴメリなどほかの主要都市でも計数万人が抗議。デモ参加者は、旧ソ連から独立直後の、白と赤のベラルーシ国旗を振り、大統領選挙が改ざんされたと非難、またその後のデモの暴力的な取り締まりにも反対の声を強めています。(片岡正明)


 ベラルーシでの抗議行動は投票直後の9日夜から票の操作など「不正選挙が行われた」と始まりました。10日に選管はルカシェンコ氏の地滑り的勝利と発表。9日夜以来、抗議デモに対し、治安部隊が暴力的に鎮圧を繰り返しました。このため、デモ参加者2人が亡くなり、約7000人が逮捕されるという事態に。ルカシェンコ氏の対抗馬だったチハノフスカヤ氏も、当局の圧力を受けた末、安全のため子ども2人を避難させていた隣国リトアニアに11日、自らも出国。一時、同氏が選挙結果を受け入れるかのような動画が投稿されました。

 しかし、抗議行動は収まりません。首都ミンスクでのデモは、女性による「人間の鎖デモ」など毎日、形を変えながら継続されるとともに、国営企業でも労働者が抗議を開始。13日には七つの国営企業で労働者が抗議。このうち大型トラックなどを製造している企業「ベアルズ」で数百人の労働者が行進し、ルカシェンコ氏に「出ていけ」とシュプレヒコールする映像が発信されました。14日にはミンスクの地下鉄や軍需・石油工場などで選挙無効を訴える集会が勤務時間中に実施されたと報道されています。

 有力な大統領候補とされながら、大統領選から排除された元外交官ツェプカロ氏は、滞在先のウクライナで政権交代のための政治組織「救国戦線」を結成すると表明しました。

 事態の発展に驚いたルカシェンコ大統領は、16日の支持派の集会で、デモを弾圧しなければ、デモ参加者は「ねずみのように穴からはい出して来る」と指摘。また北大西洋条約機構(NATO)が隣国ポーランド、ラトビアなどで演習し、ベラルーシに大統領選をするよう軍事脅迫をしていると批判しました。

 同氏は国家連合を結んでいるロシアのプーチン大統領と15、16日と2日立て続けに電話会談しました。プーチン大統領は、両国の同盟関係や集団安全保障条約に基づき、「必要な支援」を行う用意があると約束。ロシア介入の可能性も出てくるなど、現地では緊張が高まっています。

 ベラルーシの国旗 現在、ベラルーシの国旗は赤と緑で、旧ソ連の構成国だった当時の旗とほぼ同じで、鎌とつちと赤い星を除去したもの。1995年に変更しました。一方、今回、反政府デモ隊が振る旧国旗は、ベラルーシが旧ソ連から独立直後に国旗として決めました。もともとは、1918年3月~12月に存在したベラルーシ人民共和国の旗です。現在、ルカシェンコ大統領に反対する人たちは、現在の体制の旗ではなく、自由と民主主義を象徴するものとして旧国旗を使うのを好んでいます。


pageup