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2020年8月15日(土)

相次ぐ内水氾濫 対策せず

国・自治体に住民怒り

福岡県

 7月の記録的大雨で福岡県内では、降った雨を排水しきれずに地域全体が水没する「内水氾濫」の被害が各地で相次ぎました。毎年のように被害が繰り返されるにもかかわらず、対策を打たない国や自治体に住民から怒りの声が上がっています。(福岡県・田中正一郎)


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(写真)内水氾濫で浸水した地域=7月7日、福岡県大牟田市上屋敷町

 「この災害は人災なのか、天災なのか」「浸水した経験があるのになぜポンプを増築しなかったのか」。7月6日からの大雨で1000軒が床上浸水し、高齢者2人が亡くなった大牟田市三川地区。同月30日に開かれた市の住民説明会では次々厳しい意見が飛びました。

 市営三川ポンプ場では諏訪川に水を排出するポンプ12台が配電盤の浸水などで全て停止。1963年に設置の同ポンプ場は現在の国の排水能力基準を満たしておらず、「みなと校区運営協議会」は浸水被害をうけ2017年にポンプ強化などの要望書を出していました。市は隣接する公園に現在と同等以上のポンプ場を整備する意向ですが、国の災害査定が終わらず建設時期は未定です。

 同地区汐屋町の女性(50)は、自宅が床上1メートルまで浸水。被災当時家にいた息子は胸まで水に漬かって避難しました。水が引かなかったため約2日間家に入れず電気製品は全て壊れました。自宅は土壁が剥がれ落ち天井までカビが生えた状態です。「持ち家なので修理してでも住みたい。地域に住み続けるために安心が欲しい」と話しました。

 内水氾濫の被害は県内の他の地域でも。筑後川など堤防を設けた河川で、豪雨時、支流の水位より主川の水位が高くなって排水できずにあふれる被害が頻発しています。久留米市では同月7日、筑後川の水かさが氾濫危険水位を超え、市内の複数の支流が氾濫。家屋や商業施設、農地が浸水しました。同市東合川地区で自動車整備を営む男性(71)の工場では工具や商品に700万円超の被害が出ました。

 これまでにも大きな浸水被害を受けた寺崎さん。周辺では移転を考える事業者もいますが、大型トラックを整備可能な建屋、敷地の確保は困難で他の場所での営業は考えられないと言います。「国道が漬かるのはおかしい。ポンプを大きなものにしないとまた同じことを繰り返す」と語ります。

 日本共産党の高瀬菜穂子県議は「ダムのみに頼り切った治水の結果、河川整備がとにかく遅れています。国と県、地元自治体が一つのテーブルで河川整備計画をつくり整備を進めれば大きく改善することは、北九州市の紫川や飯塚市の明星寺川などで試され済みです。住民とともにダム活用も含め総合的な治水を求めていく」と話しました。


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