2020年8月10日(月)
爆発原因は政府怠慢
レバノン首都 1万人デモ
体制打倒求める
【カイロ=秋山豊】レバノンの首都ベイルートで8日、港湾地区で4日に起きた大規模爆発の原因は当局の怠慢や腐敗した体制にあるとして、約1万人が体制の打倒を求めるデモを行いました。
爆発が起きた港には、爆発性のある物質が安全対策もなく大量に保管されていました。アウン大統領はこの物質の存在を約3週間前には知っていたと述べています。
デモに参加したリナ・ヤシンさん(28)は本紙の電話取材に、「大統領も首相も議員も全員やめるべきだ。人殺しから国を取り戻す」と憤りました。
モニル・ロマニさん(40)は「腐敗した体制が経済危機をまねき、今度は爆発を引き起こした。国民の苦しみは増すばかりだ」と語りました。
デモ隊の一部が議会に続く通りの封鎖を突破しようとし、警察が催涙ガスを発射しました。警察に投石する参加者や省庁に突入する者もいました。現地の赤十字などによると230人以上が負傷し、警察官1人が死亡しました。
ディアブ首相は8日、「早期に議会選をしなければ危機を脱せない」と述べ、2022年予定の議会選前倒しを提案する意向を示しました。
レバノンでは昨年10月、経済的苦境と汚職に対する怒りが広がり、新規課税に反対するデモが体制打倒を求めるデモに発展。当時の首相が辞任に追い込まれました。
ロイター通信によると、爆発による死者は8日までに158人、負傷者は6000人以上となっています。