2020年8月6日(木)
エジプト 性暴力被害者情報 保護へ
「#MeToo」運動前進で
月内にも法成立
【カイロ=秋山豊】エジプト議会の憲法及び法制問題委員会は4日、性暴力被害者の身元を秘匿する法案を可決しました。地元メディアなどが報じました。
トムソン・ロイター財団の取材に応じた議員の話によれば、法案は今月にも本会議で採決される見通し。成立すれば、被害者の情報を明かした者に最大で禁錮6カ月が科されます。特別な要求があった場合のみ裁判所と被告に被害者の情報が開示されます。
同財団によると、女性の権利団体の幹部でもある弁護士のレダ・エルダノウブキ氏は「性暴力を受けた女性が被害を訴えることを促進する積極的な影響を与えるだろう」と歓迎しています。
同国では7月、インターネット上で100人を超える女性から性暴力や脅迫の被害を告発された男性が逮捕されました。「エジプトの#MeToo運動」と呼ばれています。
ネット上で告発が相次ぐなか、エジプト政府は被害者の情報を守るための法改定をする方針を決めました。
地元メディアは「被害者の多くは恥じる気持ちと被告からの報復の恐怖で訴えることをやめている。自分が非難を受けることにおびえる被害者も多い」と指摘しています。
カイロにあるイスラム教スンニ派の最高権威機関アズハルも、性暴力の加害者に対して法的措置をとろうとする被害者を支えるよう呼びかけています。