2020年8月1日(土)
香港立法会選を延期
民主派の伸長恐れる
行政長官発表「中央政府は支持」
【北京=釘丸晶】香港政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は31日夕、記者会見を開き、9月6日に予定されていた立法会(議会)選挙を1年延期すると発表しました。林鄭長官は「(新型コロナウイルスの)感染防止で7月以来、民生、経済に大きな打撃を被った」とし、選挙延期を宣言。「緊急法を発動して法律的基礎とする。この決定は中央政府の支持は得ている」と述べました。同選挙をめぐっては親中派から感染防止を口実に延期を求める声が上がっていました。
香港メディアによると、林鄭長官の会見に先立ち民主派の立法会議員22人が共同声明を発表。「政府と親中派は選挙情勢が厳しいため、感染防止の名を借りて選挙を延期し、市民の投票の権利を乱暴に奪おうとしている」と批判しました。
一方、国家安全維持法反対などを理由に民主派候補12人の立候補資格を取り消した選挙管理当局の対応にも批判の声が上がっています。昨年11月の区議会(地方議会)選挙に続いて立候補資格を剥奪された若手民主活動家の黄之鋒(こう・しほう)氏は31日に会見し、「政府による大規模な民主派候補の補資格取り消しは選挙不正に等しい」と批判。選挙延期について、黄氏は「中国・香港両政府には選挙延期の何の基礎もなく、唯一の理由は負けるのを恐れていることだ」と述べました。
現職議員を含む4人の立候補資格が剥奪された公民党は30日に会見し、梁家傑(りょう・かけつ)主席は「自由権規約の下の選挙権および被選挙権への侮辱と破壊だ。一国二制度はすでに存在しない」と述べました。